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苦悩

2011年12月 5日 (月)

弾けるギャルみこし(57)

P1000271

洋服だけではない。

自分のこれから先の人生はどんどん色褪せ、

味気なくも無感動な世界に

入りこんでいくような気がしてならなかった。

  (われら冷たき闇に  藤堂志津子)

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2011年11月24日 (木)

弾けるギャルみこし(56)

P1000382

人には死期というものがあり、誰もそれに逆らえない。

目に見えない細かい運命の糸がよじれ、

行き場を失い思ってもみなかった時に人は死ぬ。

たとえ誰かに殺されたとしてもそれがその人の運命だったのだ。

(唐沢家の4本の百合  小池真理子)

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2011年11月21日 (月)

弾けるギャルみこし(55)

P1000379

花に表情があるとしたら、

山百合にはその表情と呼べるものは一切感じられない。

能面のような無表情さで、

山百合は出会い頭に人を驚かせてみせる。

あでやかな色彩の蔭には冷笑がある。孤独がある。

見る者の神経を逆撫でするような閉鎖性がある。

  (唐沢家の4本の百合  小池真理子)

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2011年11月20日 (日)

弾けるギャルみこし(54)

P1000360

ともかく甘やかな感情や信頼関係が必要になってくるわけで、

快楽というものは、結局、これらのいわゆる愛情や感情が

高まり自己解放が進み、

ある限度を越えると乗っている戸板がひっくり返って、

即物的な感覚だけが跳ねまわる世界に没することを言うのだ。

(これは懺悔ではなく  髙樹のぶ子)

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2011年11月19日 (土)

弾けるギャルみこし(53)

P1000334

どこの夫婦でも二度や三度心の中では

相手を殺すか毀すかしているさ。

その後でまた、組み立て直し、

この人と何十年も一緒にいて

よかったと思う瞬間も確かにある。

  (これは懺悔ではなく  髙樹のぶ子)

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2011年11月18日 (金)

弾けるギャルみこし(52)

P1000350

男と女の間の冷めかけた空気を暖めるには、

ある種の鈍感さのおかげで生み出されるエロスに頼るしかないのだが、

怒りや不満といったものは大体首から上の出来事であり、

エロスは肌や下半身から芽生えるものだから、

首から上の出来事を無理やり下半身に侵略させ

解決させるのは頭でっかちな人間ほど苦手なのだ。

  (これは懺悔ではなく  髙樹のぶ子)

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2011年11月17日 (木)

弾けるギャルみこし(51)

P1000328_3

日頃無関心な冷蔵庫を覗き込んでハムが干からびているのを見つけると

「なんだこれは」と言う。

黙って捨ててくれればいいのに、干からびたハムの上で感情が爆発する。

干からびたハムは確かに私の失敗だが、こういう明々白々は

私の失敗の上でしか爆発しない湿った花火のような夫を、

私は心の中で女が腐ったような、という公に出来ない差別用語でののしった。

  (これは懺悔ではなく  髙樹のぶ子)

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2011年11月16日 (水)

弾けるギャルみこし(50)

P1000323

人間の傷を癒す言葉には二つあります。

<励まし>と<慰め>です。

人間はまだ立ちあがる余力と気力があるときは

励まされるとふたたび立ち上がることができる。

これが大きな役割を果たす場合がある。

  (大河の一滴  五木寛之)

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2011年11月15日 (火)

弾けるギャルみこし(49)

P1000273

本来人間は豊かな情念と感覚をもっている。

大きく喜ぶためには大きく悲しまなければならない。

深く泣ける人でなければ本当の笑いを笑うことができない。

希望というものは絶望と背中合わせになっていて

深く絶望する者だけが本当の希望をつかむことができる。

  (大河の一滴  五木寛之)

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2011年11月14日 (月)

弾けるギャルみこし(48)

P1000272

お前のさびしさというものは時間がたつとふと通り過ぎていくような、

ある意味では対象によって癒されるさびしさなのだが、

自分が今感じているさびしさというものは

骨身にしみわたるような深い重いさびしさなのだ・

そして自分は一生このさびしさを背負って生きていくのだろう。親鸞。

  (大河の一滴  五木寛之)

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2011年11月12日 (土)

弾けるギャルみこし(47)

P1000350

喜ぶということは人間の生命を活性化する。

同じように本当に悲しむことが大切です。

自分のために悲しむだけでなく、他人のために悲しみ、

涙を流すことであります。

痛みや苦しみを助けてあげることができないと感じたときに人間は、

なんともいえない深い絶望感とか苦しみとか、痛みとか深い

悲しみを感じる。そういう悲しみ上手が大切。

  (大河の一滴  五木寛之)

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2011年11月10日 (木)

弾けるギャルみこし(46)

P1000336

美しく鉄をもひしぐような強い真っ白な歯が歳月とともに抜け落ちたあとでも、

醜いぐにゃぐにゃした舌は口中になお生命とともに生きて働いている。

人生の真実もこのようなものだ。

大事なものは外観が美しく強いことではない。

むしろやわらかくて頼りげなもの。美しいものの背後にひそんでいる

舌のようなぐにゃぐにゃしたもの、

そいうものこそ本当は強く長くいきつづけるものなのだ。

人間や世界の真実もまたしかりである。

    (大河の一滴  五木寛之)

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2011年11月 9日 (水)

弾けるギャルみこし(45)

P1000270_2

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2011年11月 7日 (月)

弾けるギャルみこし(44)

P1000269_2

「からだで確かめなくて、よく愛しているかどうか判るわね」

そのひとことは容子を思わぬところから鷲掴みにした。

「からだの関係になって、見失ってしまいたくないの」

「見失う?それは違うわよ。見えてくるのよ。別の何かが見えてくるのよ。

相手の裏側だけでなく、自分が知らなかった自分もみえてくる」

「何かを見失うわ、見えてくる分、何かを見失うに決まっている」

  (春まだ浅く  髙樹のぶ子)

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2011年11月 6日 (日)

弾けるギャルみこし(43)

P1000258_2

触れ合う深さはふたりの意志とは反対に、

会うごとに深まった。

かすれた声は次第に大きくなり、低い響きを伴った。

それほどの快楽、体だけでなく心の在り方さえも

変えてしまう力を秘めている。

  (春まだ浅く   髙樹のぶ子)

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2011年11月 3日 (木)

弾けるギャルみこし(42)

P1000259_4

昼も夜も時子は母の容態が気になった。

暗い中で咳き込む音を聞くと、どうかこの闇の中に苦しみもなく、

いってくれと祈った。

母親の棺に取りついて、大泣きしながら

途方もない開放感を味わってしまう。

この時の自分を思い返すたび、前科者のような気分になる。

   (揺れる髪  髙樹のぶ子)

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2011年11月 1日 (火)

弾けるギャルみこし(41)

P1000244_3

存在すること自体が避け難い不快なことだと

かって時子は自分の母親に対して思ったことがあった。

そのような不穏な想いは、自分のうちですぐさま拭い去られたが、

確かにそう感じたという記憶は未だに残っている。

  (揺れる髪  髙樹のぶ子)

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2011年10月28日 (金)

弾けるギャルみこし(40)

P1000235_2

そういえば、母の顔は貧しい空気の中にしか浮かんでこない。

閉じられた扉を見ていると、京子の下に弟か妹がいたら、

少しは違っていただろうと想う。

時子の母も一人娘だし、自分もそうである。

一人娘などいいことはない。

  (揺れる髪   髙樹のぶ子)

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2011年10月24日 (月)

弾けるギャルみこし(39)

P1000237

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2011年10月23日 (日)

弾けるギャルみこし(38)

P1000239

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2011年10月22日 (土)

弾けるギャルみこし(37)

P1000232_2

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2011年10月21日 (金)

弾けるギャルみこし(36)

P1000236

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2011年10月20日 (木)

弾けるギャルみこし(35)

P1000234_2

俺がどれほどの激しさであの女を愛したか

どれほどの思いで遠ざかったか。

骨まで拾わされりゃあきらめないわけには

いかなくなるだろう。

  (星々の舟  村山由佳)

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2011年10月19日 (水)

弾けるギャルみこし(35)

P1000233

彼女が他の男と付き合ってしまえば、

自分もあきらめられるかもしれない。

いつしか妹に対して抱くようになっていた、

この息苦しいような気持ちにけりをつけられるかもしれない。

そう思ったからだ。

  (星々の舟  村山由佳)

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弾けるギャルみこし(34)

P1000229_4 クリックしてネ

頭のどこかで責め立てる声が響いていたが、彼女を欲しいという

強い欲求の前に理性や自制心など全く無力だった。

体の中で怒りがどす黒く渦を巻いていた。

怒りよりも強いのは悲しみ、いや、絶望だった。

心臓がねじれ切れそうだった。

  (星々の舟  村山由佳)

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2011年10月18日 (火)

弾けるギャルみこし(33)

P1000223_2

クリックしてネ

嘘というものは、できるだけ単純なものを

確信を持ってつくに限るということを、

あのとき美希は初めて知った。

  (星々の舟  村山由佳)

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弾けるギャルみこし(32)

P1000221

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2011年10月17日 (月)

弾けるギャルみこし(31)

P1000220_2

暁と紗恵は互いに血のつながらないものと信じ

親の目を盗んでは男と女の関係になった。

お兄ちゃんもお姉ちゃんもお父さんもお母さんもみんな汚い!

踏みしめたはずの地面がふいに消えたような気がした。

誰に怒りをぶっつけていいのか、

どうしてこんなに虚しいのかわからない。

そんなに世間体が大事か、娘の心より大事なのか。

  (星々の舟  村山由佳)

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2011年10月16日 (日)

弾けるギャルみこし(30)

P1000219_4

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2011年10月15日 (土)

弾けるギャルみこし(29)

P1000233_3

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弾けるギャルみこし(28)

P1000196_2

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2011年10月14日 (金)

弾けるギャルみこし(27)

P1000192_2

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2010年11月24日 (水)

弾けるギャルみこし(26)

P1000192

自分でもぎょっとしたほど、陰惨な絵が出来上がりました。

しかし、これこそ胸底にひた隠しに隠している自分の正体なのだ。

おもては陽気に笑い、また人を笑わせているけれども、実はこんな陰鬱な

心を自分は持っているのだ、仕方がないとひそかに肯定し、けれどもその絵は

竹一以外のひとには、さすがに見せませんでした。

(人間失格  太宰治)

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2010年11月12日 (金)

弾けるギャルみこし(25)

P1000232

高校も中退し、ずっとこの小さな家の中で床に臥す日々を送っている美耶。

美耶の体が通学に耐えられなくなっていたことは事実だが、それに加え、

私には美耶のお母さんが、変わり果てた美耶を閉じ込め、隠したがっているように見えた。

この世で一番恥ずかしいものみたいに。

でも、私は思う。美耶がこんなふうになったのは、美耶が優しいからだ。

(六月の輝き  乾ルカ)

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2010年11月11日 (木)

弾けるギャルみこし(24)

P1000207

私は幼く、あまりに身勝手で独りよがりだった。

囚われてしまったのだ。

弱いから。

けれども、私は美耶に抱いた醜い感情のすべてに意味がなかったとは思わない。

今、私をさいなむ悔悟の念も含めて。

夜の教室で、二人で見上げた月があれほどに美しかったのは、あたりが暗闇だったからだ。

それまで、暗がりに取り巻かれていたからだ。

美耶なに一つ責めずに、私の変化を受け入れてくれた。

長い時間がかかったけれど、私たちは新しくなれたのだ。

  (六月の輝き   乾ルカ)

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2010年11月10日 (水)

弾けるギャルみこし(23)

P1000226_6

子供のころから慣れ親しんだ小さな駅に降り立つと、

向かいのホームで町の方へ行く電車を待っている子を見つけた。

中学校を卒業するまで、一緒のクラスだった優等生。

渡辺史恵だった。

史恵はすぐに私に気づいて、微笑んでくる。私も軽く手を振ってそれに応えた。

きれいになった。

素直にそう感じた。

もともと顔立ちの悪い子ではなかったけれど、昔はどこか笑顔を作っている感じが

透けて見える瞬間があり、まれにそれが私を腹立たしくさせたものだった。

   (六月の輝き  乾ルカ)

無断転載厳禁)

2010年10月17日 (日)

弾けるギャルみこし(22)

P1000234

祖母は無口でめったに不満をもらさない女性であった。

しかし祖父の絶え間ない呼びつけには、さすがにたまりかねたらしく、

可奈子は可奈子は祖母の愚痴っていたのを覚えている。

「全く、落ち着いてトイレにも入っとれんで」

だが祖母の愚痴には、はじから笑いに変わっていくような明るさがひそんでいた。

  (離婚まで  藤本ひとみ)

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2010年10月15日 (金)

弾けるギャルみこし(21)

P1000217

可奈子が父母と十八年を暮らしたひと間だけの空間。

夜ごとの言い争いの中に、酔いつぶれて服を脱ぎ散らかしたまま

横になっている父がおり、限りなく怒り続ける母がおり、

布団の中で身を硬くしている可奈子がいた。

(離婚まで  藤本ひとみ)

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2010年10月14日 (木)

弾けるギャルみこし(20)

P1000226_9

朝起きてみると、父の布団は空で母は台所で口を引き結んでおり、

何を聞いても無言かあるいは叩き返すような返事しかしてくれなかった。

可奈子は夜が恐ろしかった。そこには何かしら必ず不穏なものが潜んでおり、

自分を傷つけるように思えたのだった。

  (離婚まで  藤本ひとみ)

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2010年10月 6日 (水)

弾けるギャルみこし(19)

P1000231_6

父は母を酒屋に走らせるか、当てつけのような

言葉を残して外に飲みに出かける。

その度に父母の間で金をめぐる争いが起こった。

父のぶちまけるような声や、母の押さえるような声が

交錯するのを耳にすると、可奈子は体の底におさまっている

熱がゆっくりと噴き上がってくる。

  (離婚まで  藤本ひとみ)

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2010年9月10日 (金)

弾けるギャルみこし(18)

P1000271

自分には淫売婦というものが、人間でも女性でもなく、白痴か狂人のように見え、

その懐の中で、自分はかえって全く安心してぶっすり眠ることが出来ました。

みんな哀しいくらい、実にみじんんも欲というものが無いのでした。

そうして自分に、同類の親和感とでもいったようなものを覚えるのか、

自分はいつも淫売婦たちから、窮屈でない程度の自然の好意を示されました。

(人間失格  太宰治)

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2010年9月 6日 (月)

弾けるギャルみこし(17)

P1000214_2

女は引き寄せて突っ放す。あるいは又、女は人のいるところでは自分をさげすみ、

邪険にし、誰もいなくなるとひしと抱きしめる。

女は死んだように深く眠る。女は眠るために生きているのではないかしら。

  (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁

2010年9月 1日 (水)

弾けるギャルみこし(16)

P1000216_4

女は引き寄せて、突っ放す。あるいは又、女は、人のいるところでは

自分をさげすみ、邪慳にし、誰もいなくなるとひしと抱きしめる。

女は死んだように深く眠る女は眠るために生きているのではないかしら。

  (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁

2010年8月26日 (木)

弾けるギャルみこし(15)

P1000212

自分は幼い時から、女とばかり遊んで育ったといっても過言ではないと思っていますが、

それは、また、しかし、実に薄氷を踏む思いで、失敗をして、ひどい痛手を負い、

それがまた、男性から受ける鞭とちがって、内出血みたいに極度に不快に内攻して

なかなか治癒し難い傷でした。

 (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁、

2010年8月20日 (金)

弾けるギャルみこし(14)

P1000204

それは誰でも、人から非難せられたり、怒られたりしていい気持が

するものでは無いかも知れませんが、自分は怒っている人間の顔に

獅子よりも鰐よりも竜よりも、もっと恐ろしい動物の本性を見るのです。

人間に対していつも恐怖に震いおののき、また、人間として自分の行動に、

みじんも自信を持てず、そうして自分ひとりの懊悩は胸の中の小箱に秘め、

その憂鬱、アナヴァスネスをひたかくしに隠して、ひたすら無邪気の楽天性を装い、

自分はお道化たお変人として次第に完成されて行きました。

  (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁

2010年8月18日 (水)

弾けるギャルみこし(13)

P1000215_2

人間はめしを食うために生きているのだという説は聞いたことがあるような気がするけれど、

金のために生きている、という言葉は、耳にしたことが無い。

いや、しかし、、ことによると― 、いや、それもわからない。

考えれば考えるほど自分にはわからなくなり、自分ひとり全く変わっているような

不安と恐怖に襲われるばかりなのです。

自分は、隣人と、ほとんど会話が出来ません。何をどう言ったらいいのかわからないのです。

 そこで考え出したのは道化でした。

 (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁

2010年8月17日 (火)

弾けるギャルみこし(12)

P1000206_5

つまり自分には人間の営みというものが未だに何もわかっていないという事になりそうです。

自分の幸福の観念と世のすべての人たちの幸福の観念とがまるで食い違っているような

不安、自分はその不安のために夜々、転天使、呻吟し、発狂しかけた事さえあります。

自分はいったい幸福なのでしょうか。

自分は小さい時から、実にしばしば、仕合せ者だと人に言われて来ましたが、

自分ではいつも地獄の思いで、かえって自分を仕合せ者だと言った人たちの方が比較にも

何もならぬくらいずっとずっと安楽のように自分には見えるのです。

  (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁

2010年8月16日 (月)

弾けるギャルみこし(11)

P1000205

恥の多い生涯を送って来ました。

自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。

自分は東北の田舎に生まれましたので、汽車をはじめて見たのは

よほど大きくなってからでした。

自分は子供の頃から病弱で、よく寝込みましたが、寝ながら、

敷布、枕のカヴァ、掛布団のカヴをつくづくつまらない装飾だと思い、

それが案外に実用品だった事を、二十歳近くになってわかって、

人間のつましさに暗然とし、悲しい思いをしました。

 (人間失格  太宰治)

無断転載厳禁、

2010年8月11日 (水)

弾けるギャルみこし(10)

P1000194 

P1000191

いま暁をすくみ上がらせているのは恐ろしさよりなにより

これまで一度も感じたことのない恥ずかしさだった。

自分は何かとんでもないことをしてしまった。

何かわからないが許されないことをしでかした。

そう思うと体が震えた。

(星々の舟  村山由佳)

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2010年8月 9日 (月)

明子絶唱第4章(四)

 四

日曜日の朝の御勤めに幸治は明子に内緒で文夫と共に久しぶりに支部に顔を出していた。

「あらっ、文夫君。お久しぶりね」

妙齢の女性が声を掛けてきた。

「あゝ、新井さんお元気でしたか」

「ええっ、元気よ。どなた、お友達?」

親同士が知り合いであったし同じ信者だったと言うことでもあって気軽に新井久美子は声を掛けたのが間違いだった。

「はい、同級の中山幸治君です」

「中山幸治君……まさかお母さんのお名前は中山明子さん?」

久美子の頭の中から恋敵である中山明子の名前は片時も消えることはなかったのであろう久美子は中山と聞いてつい口が滑った。

「ええ、そうですけど。どうして母の名前を知っているんですか」

幸治もびっくりして女性を見つめ直した。

「いえ……、私ちょっと用事を思い出しましたの。失礼するわ」

久美子は明子が未亡人だと知ったとき改めて依頼書から明子の家族調書を調べて三人の子持ちであることを知っていたのだ。知ってはいたが世の中は広いようで狭いもので、まさか恋敵の息子の幸治にこんな所で逢おうとは夢にも思わなかった。久美子は不味いことでもあるのか慌てて逃げるように立ち去って行った。

「どういうことなんだ。知り合いか」

「うん、親同士の知り合いなんでね。君と同じでね最近男に騙されたとかで入信したらしいんだ」

「へえ、あの人がねえ……でも何故母の名前を知っているんだろう。君が教えたのか」

「馬鹿云うなよ。何で俺がそんなこと教えなければならないんだ」

「母の知り合いにあんな人いたかなあ。会社が同じなのかなあ」

「そうかも知れないね」

二人とも合点がいかなかったがそれ以上詮索することはなかったが久美子には大きな問題だった。久美子は子どもの頃両親に連れられて支部に来たことはあったが大人になってからは宗教にはほとんど懐疑的で、むしろ敬遠していた。そこへもってきて恋い慕う田舎育ちの健介が新教宗教を毛嫌いしていた。だから両親がいくら折伏しても頑として久美子は入信しなかったのである。でも健介は明子を選び独立して久美子の前から離れていった