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苦悩

2010年2月22日 (月)

明子絶唱

健介と久美子が再び深い中になっていたとは夢にも思わなかった明子は幸治の入信を健介に打ち明けどうしたものかと助けを求めた。

「何、新興宗教に入信したって?どう云うことなんだ。弁護士殺害事件や地下鉄サリン事件があったばかりなのに!」

健介は全く予期せぬ出来事に声を荒げた。

「大きな声出さないでよ。明子にも分からないんだから」

「幸治君は私たちの結婚に反対するだけでなく何処まで私を困らせば気が済むんだ」

唯でさえ明子の煮え切らない態度に嫌気が差しているところへまたしても厄介な問題を持ちかけられて健介は苛立った。

「ねえ、何とかならないかしら。お願い」

「何ともならないね。信仰の自由は個人の問題だからネ。法律では片付かないよ」

信仰の自由だけは法律では解決できない問題だけにうんざりだった。

「あの理屈屋の幸治が入信したのには余程の訳があるんじゃないかと思うの。入信したことよりも幸治の身辺に何かとんでもないことが起こっているような気がするの。大学へも行かないと云うし、心配で夜もねられないの」

「大学へも行かないって。何を考えているんだ、あの馬鹿は!」

「ひどい事云わないで、そこらへんのところ男同士で聞いてみてくれない。息子であっても男の子の考えていることが女親には分からないの」

「分かったよ。一応聞いてみるよ。でもね宗教問題は個人の心の問題だからどうにもならないと思うよ」

素っ気なく言い放った健介は明子への気持が急激に冷めていき、久美子への思慕に傾注していった。

2010年2月18日 (木)

明子

久美子は健介を引き止めるため女の浅知恵で、月のものが遅れたのを口実に妊娠したと健介を怒らす結果になったがずっと後悔していた。卑怯だと罵られ一時は身を引いたが三年も経つと失恋の傷も癒え、最初の男であってみれば片時も健介を憎むことも忘れることも出来なかった。同じ業界にいれば又逢うこともあるだろうと勤めは続けていた。

それは偶然だったと言えば嘘になる。法務局への書類の提出や連絡は努めて久美子が引き受け、待合席でわざと時間を費やし健介との出会いを期待していた。曜日を変え、時間をずらしたりしたが容易に健介とめぐり合うことはなく諦めかけていた矢先だった。

「やっぱり久美子だったんだ。えらい綺麗になって見間違えたよ。元気だった」

書類に眼を通していた久美子に愛しい健介が肩を叩きながら声を掛けてきた。確かに久美子は黒のスーツにタイトスカートがよく似合うオフィスガールとしての身だしなみが板につき、ロングに垂らした黒髪は落ち着いた雰囲気を醸し出していて健介を驚かせた。

「お久しぶりです。健介さんもお変わりなくて」

「ありがとう。それにしても随分女らしくなったねえ……」

「あら、嫌だ。そんなにじろじろ見ないで」

「えっ、ごめん。余りにも綺麗になってるんでえ……あゝ、そうだ。折り入って相談したいことがあるんだ。今夜逢ってくれないか」

「えっ、今夜……今夜は約束があるんだけど何とか都合つけるわ」

久美子は一応もったいぶって見せた。

「じゃ今夜七時に阿倍野ホテルのロビーでね」

「分かったわ。阿倍野ホテルね」

そこは健介と久美子が初めて結ばれた特別なホテルで、二人とも忘れられない場所で暗黙のうちにお互いに何かを求め合い了解し合っていた。

2010年2月15日 (月)

明子絶唱

健介も男として生まれたからにはいずれは結婚して家庭を持ち、子どもも欲しかったのだろうが法律事務所も同業者が多く経験の浅い健介の計算通りには事は運ばなかったし、明子との結婚も幸治の反対で伸ばし伸ばしになっていた。最後に密会したのは二ケ月も前だった。その時も何かお座なりで融資して貰ってる手前、義務的にセックスの処理を済ませたという感じで健介の気持ちは何処か遠くにあるような気がして明子は何か物足りなさを残した。

「ネえっ、どうしたの。何処か身体の調子が悪いの」

「そんなことないよ」

「だってぇ元気がないじゃないの。お勤めでやってるみたい」

「そんな訳ないけどさあ。俺たち何時が来たら結婚できるのかなあ。このままでは子どもも作れないしなあ」

「そう、分かってるわよ。でも毎月赤字ばかりで子どもを生んだら生活が壊れるでしょう。仕方がないじゃないの」

「俺も分かっているんだけどね……」

「分かっているんなら、暫く様子を見るしか仕方がないんじゃない」

「でもなあ、子どもは欲しいよなあ……」

そこで二人とも黙ってしまった。出来ることなら異父兄弟になる子どもは欲しくないという明子の思惑が見え見えで健介は不満を持っていたようだった。それが全ての原因ではなかったが、早く家庭を持って落ち着きたい気持もあって結果的に健介を久美子に走らせたのだった。

2010年2月12日 (金)

明子

 三

 

人の心は解らない。自分のお腹を痛めた息子でさえ何を考えているのかさっぱり解らない。明子は何時も理屈ばっかり云って宗教とは最も遠い立場に居た筈の幸治が何故入信したのか、それもあんなに毛嫌いしていた新興宗教に折伏されるとは一体どう云うことなのだろうか。どんなに頭を柔軟にして考えても想像も付かないことだった。幸治の身辺に何か危害を加えられるようなことが起きたのだろうか。それとも好意を寄せた女の子に足蹴ざまに罵られ焼け糞で仏に縋ったのだろうか。母親の感は鋭い。だが節子に振られたその原因がまさか父親や祖父にあったとは明子も露ほどにも知らなかった。あのエロ雑誌は年頃の少年によく見られる単なる好奇心から手に入れたものに違いないと思いながらも進学しないという真意を測りかねていた。

 明子の心配事は幾つになっても途絶えることはなかった。幸治だけでなく最近の健介の態度にも腑に落ちないことが多々あった。週に一度の土曜の逢引も仕事にかまけてすっぽかす事が多くなっていた。本当に仕事なのだろうかと疑わざるを得なかった。独立して三年にもなるのに未だに毎月少しではあったが赤字ばかりが続いておりそんなに忙しいとは思われず真二の保険金で補う始末だ。それはまあいずれの事業にしても最初から旨くいく筈はないだろうから頑張ればそのうち軌道に乗るだろうと楽観ししていたが、三十代の男が相手が居るのに何ヶ月もセックスがないのはどういうことなんだろうか考えられないことだった。もう明子には飽きて他に女が出来たのではないかと明子は火照った身体を持て余しながら健介の行動を監視する自分が嫌になっていた。でも女の感は的中していた。明子が懸念していたとおり健介は純情一筋の久美子と縒りを戻していた。それは健介が悪いとばかりは言い切れないものがあった。

2010年2月 4日 (木)

明子絶唱

「母上、幸治はね、母上を救いたいんだ。血筋とか血縁には関係ないと母上は云うけど父上や真二が死んだりお爺ちゃんがあんなことをしたのは何かの祟りなんだ。その祟りから母上を守るには新興宗教しかないんだ。信仰心が足りなかったから次々と嫌なことばかり続いたんだ」

幸治は自分のことは棚に上げ表面上は家族の問題にし明子を守る口実にした。

「私を守ることと新興宗教と何の関係があるのよ。田舎の家はネ弘法大師様の生誕地よ、昔から真言宗なの。ご先祖さんに申し訳ないでしょう」

「既存の宗教では駄目なんだ。今はね皆で、仲間同士が助け合って皆を守るんだ。個人の信仰だけではどうにもならない時代なんだ」

折伏された人間の思い込みはいくら説明しても第三者には理解されるものではない。幸治も歯がゆい気持ちを拭い去ることが出来ない様子だ。明子は頭がおかしくなってきた。幸治が云うことにも一理はあるように思えたが、明子が抱いている信仰心とは本来神仏を自分の心の中で敬うものだと理解してきた。折伏された友達同士が集まって行うものではない筈だ。入信させられ洗脳された宗教の力に明子は脅威を感じた。

「それでその新興宗教と幸治の進学しないということとどう結びつくのよ。唯単に勉強が嫌になっただけでしょう」

「違うよ。幸治は母上の手助けになるように一日でも早く社会に出て働きたいんだ。学校なんか行かなくてもいいんだ。母上が夜遅くまで働いているのがたまんないんだよ」

口から出任せなのか真意の程は分からなかったが、母親を守ろうとする健気な幸治にこれ以上エロ本の事も追求するのは酷な気がして明子は口を噤んだ。

2010年1月29日 (金)

明子絶唱

「偉そうなこと云って幸治、これは何なの!」

明子は経本とエロ雑誌を幸治の前に並べた。

「あっ……」

流石の幸治も証拠品を突きつけられてさっと血の気が引き言葉が出なかった。

「こんなものに夢中になってるから勉強が出来ないんでしょう。この経本は何、それにあの仏壇はどうしたのよ。説明して頂戴!」

幸治の脳裏の奥に同じ一年B組で弁が立ちクラスのリーダー格で女のクラスメイトにも好感がもたれていた塚本文夫の誇らしげな笑みを含んだ大きな顔が迫った。幸治は文夫に憧れを抱きながらも何時も反発していた。ある日下校の途中に文夫が追いかけて来て声を掛けられたのだ。

「いい話があるんだ一度家に遊びに来ないか」

と誘いの声を掛けて来た。

「何の話だ。どうして小生が君の所へ行かなければいけないんだ」

「小生とくるか。いや何ね、君の家庭の事情や噂はよく耳にするよ。同情じゃないんだけれどね、君の悩みを解決する方法があるんだよ」

「何にも悩みなんか持ち合わせていないよ。じゃ失敬する」

「そうかい、節子に無様に振られたそうだな。切ないね。人生は俺のように楽しく生きた方がいいんじゃないか!」

立ち去ろうとする幸治の背中越しに文夫は快活に叫んだ。

「何、節子の事誰に聞いたんだ!」

「もっぱらの噂だよ。身の程知らずが言い寄ったとな」

「節子がそう云ったのか?」

「さあどうだか。実はなあ、かく云う俺も節子には振られたんだよ。俺たちは同士じゃないか一度遊びに来いよ。積もる話もあるんだ」

節子の心変わりや誹謗中傷によって一切の夢や希望が儚く消え去った今、地獄から這い上がり再生の光を見つけ心の安らぎを得るには文夫が説くように宗教に救いを求めるしかなかった。生きる希望を失いギャンブルに逃げ、自殺を遂げた父幸一のようにはなりたくなかった。

2010年1月26日 (火)

明子

その夜も幸治の帰りは遅かった。

「葉子、お兄ちゃんは何時もこんなに遅いの」

「えっ、あ、何時とは違うよ」

「何時もと違うって、どう云うことなん」

「………」

「葉子、あんた何か隠しているんでしょう。隠さずに云いなさい!」

「だってぇ……お兄ちゃんに何も言うなって……」

「そう、もういいわ。そうやって二人でお母さんを馬鹿にしてなさい」

「そんな……」

これ以上葉子を責めても詮無いことだ。葉子も小さい胸を痛めているのかも知れない。

「もういいから二階へ上がってなさい」

壁掛け時計を見ながら明子は葉子を解放した。

幸治が帰って来たのは何時もどおり九時を過ぎていた。

「葉子、遅くなってごめんね。弁当買って来たよ……」

息せき切って帰ってきた幸治は居間にでんと座っている明子と眼が合ってぎょっとなり言葉に詰まった。

「何だ、葉子かと思ったら母上でしたか」

「母上でしたかじゃないでしょう。何時だと思ってるの、何時もこんな時間なの」

「葉子がしゃべったのか」

急に普通の高校生の喋りになった幸治は二階の葉子の部屋を見上げながら舌打ちした。

「葉子は何もしゃべらないよ。とにかくそこへお座りよ。ちょっと話があるの」

「疲れているんだ、眠たいから話は明日にしてくれ」

「お弁当食べるんでしょう。今日ね学校へ行って来たの」

「ええっ、何のために?」

「あなたの成績が悪いので呼び出されたのよ。このままでは大学どころか進級も出来ないって」

「何だ、そう云うことか。心配しなくてもいいよ。幸治は大学へは行かないから」

「それって、どう云うことなの。母さんは幸治がいい大学へ入るようにと夜遅くまで頑張っているのよ」

「だから頑張らなくてもいいんだよ」

「健介さんも大学へ行かせてくれるって云ってるのよ」

「あんな奴の金で大学なんか行きたくないよ。前から云ってるだろう」

「じゃ、どうするのよ。検事になるんじゃなかったの。母さんはあんたが検事になるって云ったときどんなに嬉しかったか。母さんの夢を壊さないでよ」

「馬鹿らしい。人を貶めるような検事になんかなりたくないよ」

仮に一生懸命勉強して一流大学に入学できても親が借金を踏み倒して自殺したり、祖父が前科者の孫が検事になれる訳がない。況や万が一検事になれたしてもこんな家庭では節子がなびいてくれる可能性は百パーセント皆無なのだ。十六才の少年である幸治には節子との出会いが衝撃的であっただけに節子が全てだった。それが幸治の全人格を否定され地獄の底に蹴落とされたのだ。その節子にこっぴどく罵られ断絶されたとは情けなくて口が避けても云えなかった。

2010年1月21日 (木)

明子絶唱

幸治だけはと信じていただけに事情が飲み込めず狐にだまされたようで納得できなかったが明子は何の反論も出来ず学校を後にした。振り返ってみれば幸治が高校に入学できたのも奇跡だったのかもしれない。慣れない法律事務所で健介に迷惑を掛けないように勤めるのが精一杯で幸治の入学式には参加したものの、後はPTAにも授業参観にも出席したことはなかった。親としてはあまりにも無責任すぎて教師に何を云われても頷くだけだった。そんな明子を見て呆れたのか教師は投げ出すしかなかったのかも知れない。

幸治の検事になる夢だけを支えに頑張ってきた明子は急ぎ足で家に着くなりワット泣き出したい気持ちを抑えて、未だ帰宅してない二階の幸治の部屋のガラス戸を開けた。

「えっ、なーにこれ?」

机の上には小さな仏壇が置かれ、ろうそく立てや線香立て、鈴が並び、その奥に何やらお題目のようなものが張られていた。そして机の下から経本と明子の写真を挟んだヌード満載のエロ本が出てきた。この有様は一体何なのだろうか、事情を知らない明子は脳天を思いっきり叩かれたようにその場にへたり込んだ。先日も朝から屁理屈を並べて明子はやり込められたばかりであった。あの糞真面目な幸治が勉強もせずに何をしているのだろうか。馬鹿丁寧な言葉遣いは何かの隠れ蓑なのだろうか、ますます男の子というより幸治の考えていることが分からなくなった。

2010年1月19日 (火)

明子絶唱

十六歳の幸治の精神と身体はアンバランスで、何かに怯え、何かに追っかけられているようで何かに熱中していなければ溶けてしまいそうで、切なさから節子によく似た明子の写真を前にして優しい節子を想像してオナニーと読経に明け暮れ勉強に手が付かなくなり成績は極端に下がる一方になっていた。部活もしていない幸治の成績に担任の教師が心配して明子は呼び出された。

「大体のご家庭の事情は承知しておりますが、幸治君は授業中も何か他の事を考えてているのか心ここに在らずで質問しても頓珍漢な答えしか返ってこないのです。期末テストも最悪でして、このままでは単位が取れなくて大変です。家庭では勉強していますか」

若い男の教師は眼鏡を少し尻上げるような仕草をしながら、幸治の母親としてはあまりにも若く美しい明子に驚きながらやさしく尋ねた。

「幸治は無学な両親にしては小学校のときから勉強がよく出来て自慢の息子でした。一体誰に似たのだろうかと噂をするぐらいでした。馬鹿な親を反面教師にして頑張ってくれてるんだと今の今まで安心していました。高校生になってからはあれこれ口出しするのを嫌がりましたので自立させるのもいいかと思いまして……」

「そうですか、高校生になると勉強も難しくなりますので小、中学生のようにちょっと頭がいいだけでは着いていけません。何処か塾にいっていますか」

「いいえ、母子家庭ですからそこまでは手が回りません」

「おうちでは何時間ぐらい勉強しているんでしょうね」

「さあ、私は勤めていて帰りが遅いものですからよく分からないのです」

この親にしてこの子ありか、この時期何処の家庭でも必死に受験勉強に取り組んでいるというのに、教師は余りにも無責任な明子の態度に呆れ果てたのか、

「困りましたね。いずれに致しましてもこのままでは単位が取れなく留年ということになります。頑張るように云ってください」

俯いて恐縮している明子の艶かしい姿態を嘗め回すように見つめながら若い教師は突き放すように云った。

「はあ……」

2010年1月18日 (月)

明子絶唱第四章(二)

生あるものは互いに異性を求め合う。これは神が与えた自然の摂理である。だがこの摂理さえも家庭環境は理不尽に異性間を引き裂くものだ。明子は家族の事情で幸治が一目惚れした節子と決別を余儀なくされたことを知る由もなかった。

人は愛し合うために生まれたと言っても過言ではない。心身ともに人生の大半を共にする愛し合う相手に恵まれる事で人生の目的の半分は達成されたといって良い。

幸治はその愛する人に人間性を否定され七転八倒した。生きる目的がへし折られやるせなさだけが残った。人間は平等に生まれて来たはずなのにこんな無慈悲なことが許されるのだろうか。

少し堅物気味の幸治がどのようにして文夫や文夫の両親にどのように言いくるめられ、乗せられ折伏されたのか分からないが気が付いたときにはまんまと罠に嵌り幸治は熱心な新興宗教の信者になっていた。父や弟の真二など相次ぐ三人の死亡、祖父の刑務所暮らし、愛する母の再婚話それに加えて節子への未練など幸治を取り巻く環境は最悪だった。そのことで陰湿な誹謗中傷する者も現れて十六歳の純真な少年の心がズタズタだった。その隙を突かれたのだった。新興宗教に帰依するには寄付やご本尊を受けなければならず金が必要だった。だが高校生の幸治にそんな金はなく、やむなく明子に内緒で二時間程度のバイトを続け、文夫とご両親に合わせてお題目を唱えていた。その時間は全ての悩みや苦痛から開放され自分を取り戻せたような暖かい心地よい気分になっていた。

2010年1月 2日 (土)

明子絶唱

有頂天になった幸治はその一週間が長いようで短かった。母である明子を恋い慕う獣道に迷い込みもがき苦しむ幸治を獣道から救い出す天使が現れたのだ。人間が本来の人間性を取り戻すためにいろんな出会いやチャンスを神は授けるのかも知れない。母によく似た節子に幸治は完全に一目ぼれし母を恋慕する心が解きほぐされ開放されたかに見えた。逢って何を話そうか、わくわくする気持ちを抑え切れなくて夜も眠れず勉強が手につかなくなった。

約束の日曜日、幸治は折角貯めたバイトのお札を握り締め映画館の前で節子を待ったが一時間経っても節子は姿を現さなかった。

人の世の無常、人を信ずることの儚さ、幸治はその場にへたり込み暫くは立ち上がることも出来なかった。

翌日幸治はもう一度節子を神社に呼び出した。

「何か急用でも出来たんか」

幸治はつとめて優しく聞いた。

「いえっ、あんたとはもう付き合いたくないの!」

節子は何に苛立っているのかヒステリックに云った。

「急にどうしたんだい。どう云うことなのか説明してくれないか」

「あなたは嘘つきね。母子家庭でバイトしているんだって。おまけに父親が借金に追われて自殺したんだってねえ。そんなに貧しい家庭と付き合える訳ないでしょう」

「君は貧富の差で人を判断すのか。金で人の値打ちが決まるのか」

「貧乏人は皆大抵そういうのよ。一番お金が欲しいくせに犬の遠吠えみたいに負け惜しみ云うの。金なんかじゃない心だって云うのよねえ」

全く血も涙もない言い草だった。

「解ったよ。君がそんな考え方の人間だとは気づかなかった小生が悪かったよ」

小悪魔のように透き通る冷血な美しさに幸治は未練たらしくきつい事も云えず皮肉を云うのが精一杯だった。

「それにおじいちゃんも殺人未遂で刑務所に入っているんだってね」

「誰がそんなことまで云ったんだ!」

流石に大人しくいていた幸治も腹が立った。幸治自身に嫌われる原因があるのであればいくらでも直せるが家庭環境や身内の問題ともなればどうしようもないのだ。

「誰でもないわ。噂よ、皆知ってるわ。そんな怖い人と付き合うなって両親もカンカンに怒ってるわ」

「そうか、親の入れ知恵か」

惚れた弱みか先日の明るく朗らかな態度と百八十度転換し人の親切も解らない節子を憎みきれず、節子が悪いんじゃない幸治自身の父親や祖父が悪いんだと幸治は己に言い聞かせ諦めようとした。純真無垢な幸治は人の世の無常、呪われたような家庭に生まれた運命を三日三晩泣き続けて自分自身を納得させようとしていた。

2009年12月30日 (水)

明子絶唱

「この生徒手帳、節子さん……のだろう」

手帳を差し出しながらやっとの思いで親しみを込めて名前を云ってみた。

「ええ、昨日学校の帰りに落としたらしいの。部活で遅くなって薄暗かったから慌てていていたの」

「部活って何やってんだい」

「テニス部よ。幸治君は?」

「小生は訳あって部活はしてないんだ」

「へえっ、勉強一筋なの」

「まあ、そういうところかなあ。とにかく試合がある時は云ってくれ。応援に行くよ」

「ありがとう、それで何処で拾ってくれたの」

「校庭を掃除していたら落ちていたんだ」

「そう、再発行して貰おうかどうしたものかと考えていたの。本当に有難う」

「いや、礼を云われるほどのことではないんだが、お返しが欲しいなあ」

「おかえしって?」

「うん、次の日曜日映画に付き合ってくれないか」

断られて元々だ。幸治は自分でもびっくりするほど思い切って誘ってみた。

「ええ、いいわよ。中山幸治君だったわね。じゃ日曜日に」

思いもよらない夢の中にいるような節子の明るい返事だった。どんな人生でも棄てたものではない。人生は出会いから始まる。それが神の卑劣な悪戯であってもだ。

2009年12月15日 (火)

明子絶唱

葉子の切なる願いも無視して幸治はガソリンスタンドで洗車などのバイトをして勉強を怠っていた。

それというのも幸治は節子に煮え湯を飲まされていたからだ。高校に入って間もなくのことだった。校庭を掃除していた幸治は偶然にも一年D組の節子の生徒手帳を拾った。早速D組の女の子を介して節子を大切な物を拾ったからと学校の裏の神社に呼び出した。

「大切な物ってなーに?」

「えっ、君が竹下節子さんか……」

幸治は言葉に詰まった。節子が母の明子と余りにも似ていた。ピンクがかった色白に長い睫、小さな唇と可愛い鼻は丸顔にぴったりだった。セミロングに伸ばした漆黒の髪は何処か日本人形を思わせた。唯明子と違う点は小柄でなく節子はすらりとした長身だった。

「ええっ、竹下節子よ。貴方は?」

「小生は一年B組の中山幸治だ」

「幸治さん?それで大切な落し物って何よ」

「えっ、あっ……」

こんなに綺麗な女の子がこの高校にいたのかとうっとりと見惚れていた幸治は可愛い女の子に名前を呼ばれてしどろもどろになった。

2009年12月10日 (木)

明子絶唱

明子は朝の出勤時間が遅い代わりにその分夜の帰宅が遅くなった。いつも大抵は十時ごろになった。それは法律相談者が帰社の道すがら法律事務所に立ち寄るケースが多いためでもあったが、週に一回は健介とホテルで忍びあい愛し合う時間でもあった。それは結果的に幸治に明子の目の届かない時間を多くもたらし幸治もまた明子と同じように下校時間が遅くなっていた。何のために遅くなっているのかクラブ活動だとは思うものの中学の二年生である葉子には高校のことはわかる筈もなく一人で留守番をして小さな胸を痛めていた。

「お兄ちゃん、何時も帰りが遅いけど部活なの。何のクラブに入ってるの?」

「うるさいなあ。何のクラブでもいいだろうが」

「でも葉子暗くなると一人では寂しくて怖いよ。ねえ一体何をしてるの?」

「何もしてねえよ。下校時間は母上には絶対内緒だぞ。言いつけたら承知しないからなあ!」

「言いつけたりなんかしないわよ。でも何時も九時ごろでしょう。もう少し早く帰ってきてねえ、お願い」

「分かったよ。なるべく早く帰るよ、だから母上には絶対喋んなよ」

明子はそんなこととは露知らず兄妹で仲良く留守番をしてくれているものと勝手に思い込み安心していた。

2009年12月 2日 (水)

明子絶唱

「行って来ますわぐらい云ったらどう?泥棒猫じゃあるまいし黙って行くことはないでしょう」

「ご熱心に拝読されておられる様子でしたのでご迷惑をおかけしてはいかがかと存じまして……」

「朝から何馬鹿なこと云ってんのよ。幸治、そのバカ丁寧な口調は未だに直らないのね!近所の人がどんな噂をしているか知ってるの。あんたを裸の貴公子だって!」

「左様でございますか真に結構なことでございますなあ」

「母さんはね、あんたのことが心配なのよ。世間を狭く生きるようなことはして欲しくないのよ」

「何をおっしゃるんです。小生は唯皆様を尊敬申し上げて丁寧に申し上げているだけですよ。母上」

「止めてよ!母上って云うの。気色悪いわ。無駄口聞いてないで早く学校へ行きなさい!」

「はい。行ってまいります。母上」

明子は高校生にもなって将来何になろうとしているのか、何を考えているのか分からない幸治の後姿を見送りながら随分と大きくなったものだと感激すると同時に大きな壁のようなものを感じどうしたものかと大きなため息をついた。新聞には毎日のように幸治と同じくらいの若者が親に暴力を振るったり、暴言を吐いたりして挙句の果てには殺人にまで及んでいる記事がでかでかと掲載されていた。対処を誤ると幸治も切れて何時明子に歯向かって来て危害を与えないとは言い切れなかった。

2009年12月 1日 (火)

明子絶唱

  第四章

 一

人は一人では生きていけない。浮世のしがらみの中で切るに切れない絆が纏つく。夫婦の縁は断ち切れても親子の絆は天地がひっくり返っても断ち切れない。明子は健介との同棲を強引に推し進めようとしたが幸治の身体を張っての猛反対には親子の情には勝てなかった。一時は母親を棄て女の業を突き進もうと決心したのに土壇場で子どもには勝てなかった。それがやはり世間並みの母親というものだろうか明子は幸治を棄て切れなかった。女として母親として優し過ぎた明子が後悔する日がそう遠くない日に迫っているとは露ほどにも気が付かなかった。

春未だ浅き朝明子は出勤前のひと時をコーヒーを飲みながら新聞を広げていた。健介の法律事務所の電話番をするようになって三年近くが経ち応対も少しは慣れ、出勤時間もパートの時より遅くなって少しは時間の余裕が出来た。子どもたちも手がかからなくなりすっきりした気分のいい朝に明子は努めて新聞を広げるようになった。世間に疎い明子は専門的な法律知識は勿論一般的な社会常識も足りなかった。山奥育ちの中学しか出てない明子には読めない漢字や意味の分からない語句があって未だ新聞を読むとまではいかなかったが「声の広場」とか読者が投稿する簡潔な文章を拾い読みしながら少しづつオフィイス・レディーとしての教養を身につけようと悪戦苦闘していた。そんな苦労も分からずに傍から見ていると朝からのんびりと新聞を広げてコーヒータイムを堪能している明子の姿を横目にしながら地元の高校に進学した幸治は何か一言云いたそうだが登校寸前でもあったし一瞥しただけで黙って素通りしようとしていた。

2009年7月31日 (金)

六甲おろし熱唱

001

昨日は新装成った甲子園へ初めて行った。

転勤から帰ってきた息子夫婦が招待してくれたものだ。

今年は真弓監督に代わり作戦が消極過ぎて、

全て後手後手に回り成績は残念ながら眼に余るものがあった。

後半戦になってやっと軌道に乗った感じで2連勝だ。

横浜戦とはいえ3立てはむずかしいだろう。

況して相手は阪神の天敵、エースの三浦だ。

三浦には毎年えらい眼に遭わされている。

今年のオフ、阪神入りのポーズをとりながら蹴りやがった

憎っき相手。阪神をなめやがったのか初戦に出ず温存。

選りによって偶に行く我輩の観戦日に出てくるとは。

一回先頭打者赤星、ショート右を鋭く抜けるセンター前ヒット。

バンドの構えをする2番関本(昨日もバンドエンドランで成功している。

今日も同じ作戦かと思いきや)の初球にいきなり2盗、間一髪セイフ!

すかさずバンドで3塁へ送る。

3番鳥谷の浅いライトフライで無理かと思ったが

流石は赤星、足から突っ込み先制点。

それにも況して、快刀乱麻を見せた久保投手。

切れのいい変化球で11三振を奪い、最終バッターを迎える。

「後一人」ボルテージは上がる。

「後一球!」「後一球!」投げた。低めに決まったフォーク。

空振り三振!ウオー!観衆総立ち。マウンドに駆け寄る選手たち!

この興奮!

我もまた少年に返り六甲おろしを熱唱!

新装成った甲子園の銀傘に木霊する。最良の日なり。

2009年7月20日 (月)

嬉しくない誕生日

今日は海の記念日。

そして嬉しくない私の誕生日です。

誕生日が来る度に死が一歩づつ近づいている感じがします。

昨日は町内の夏祭りでした。

町内を子どもと共にだんじりを引き回しました。

鐘や太鼓の音は小さい頃の田舎の祭りを思い出し

郷愁を誘いました。

今日は月曜日、ライトハウスで園芸のお手伝いをしました。

オクラはアオイ科に属しハイビスカも同じで

野菜の花としては一番うつくしいのだそうです。

2009年6月27日 (土)

平松市長訪れる!

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土曜日なのに暑い中、平松市長が「男の台所」を

見学に来られた。一同感激だ!

大阪市内では男ばかりのグループで料理を作って

いるところはないようだ。

これからの社会男も料理が出来なければ

生きていけない時代になりそうだと。

他の地域からも注目されているとか。

ちなみに今日のメニューは

ぶりとねぎの豆板醤炒め、豆腐ステーキ、

小松菜とホタテの味噌ミルク風味、

ちりめん雑魚と梅干、しそご飯でした。

簡単な一品だけ紹介します。

青じそを軸を除いて千切りにする。

梅干は実を包丁で細かくする。

炊き立てのご飯にちりめん雑魚と梅干、青じそを混ぜ、

白ゴマを振りかけて出来上がり。

酸味のあるサッパリご飯で食欲増進。

ちりめん雑魚でカルシュウム補給で、暑い夏を乗り切ろう。happy01

2009年6月24日 (水)

雨があがって

昨夜来の雨が上がって、そんなに暑くもない

清々しい天気になった。

多少水溜りがあったが、公園の木々は、

瑞々しく緑を増していた。

今日は水曜日、公園のジョギングコースを

視覚障害者の方を手引きしてウォーキング

しました。

1時間あまりの歩行だがその間無言では

障害者の方も不気味で不安だろう。

プライバシーもあって会話の内容にも

気を使う。でも少しでも運動になってくれれば嬉しい。

2009年6月13日 (土)

男の台所

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今月から指導してくださる先生が代わられた。

病院でシェフをされていた男の先生だ。

今日のメニューは

鶏肉とセロリのハーブバター蒸し

ナスのぺペロンチーノ風

ソーセージとアスパラのケチャップ炒め風です。

2009年6月 1日 (月)

ふれあい祭り盛況

恒例の連合主催のふれあい祭りが昨日の日曜日に盛大に行われた。

我が「男の台所」もメンバーの一員として存在価値を認められたと云っていいだろう。

今年も野菜たっぷりのヘルシーチヂミを販売することにした。

土曜日の昼からニラ、三つ葉、ナンキン、菊菜、オオバなど野菜と薄力粉、上新粉などの

配合下準備に大童だった。

夜半には大雨が降りどうなるかと懸念されたが、メンバーの努力が報われ

暑くもないいい天候に恵まれた。

カセットコンロ8台フライパンで290枚を焼き上げ完売した。

試食品も人気よく祭りにはなくてはならないメニューになった。

昨年より2割り増しだがこれが限界だろう。

2009年5月27日 (水)

視覚障害者と歩く

今日は10時から近くの公園で視覚障害者と共に手引き歩行を行った。

一周500メートルのジョギングコースを4周した。

日頃歩き慣れてない私の方が歩行訓練をさせてもらっているようだった。

健常者以上に頑張っている姿勢に頭が下がる思いだ。

2009年5月26日 (火)

ボランティアに登録

先週より日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンターへボランティアとして登録。

月曜日は屋上で障害者とともにお花や野菜栽培の手伝いをしました。

先週はイチゴやスナップえんどう豆の収穫を障害者の手を携えて楽しみました。

百日草やピーナツの種を蒔きました。百日草は種が小さく障害者の方は苦労でした。

2009年2月 2日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(40)

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人間はいろんな夢を見る。

それが嫌な夢ばかりだと、やがてその人の見る夢は、

あちこち虫食いの穴だらけになってしまう。

そして全部食いつくされると、もう二度と夢を見ることができなくなるのだ。

苦しい夢を見なくてすむかわりに。楽しい夢をみることもなくなる。

その人にとって、眠りはただ意識をなくすだけの、

暗闇の時間帯でしかなくなってしまう。

 (夢虫 増田みず子)

無断転載厳禁

2009年2月 1日 (日)

大和路に乱舞するフェアリー(39)

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夢虫というのは、夢の中だけに住んでいる虫だ。

その虫がどんな姿をしているかは、誰も見たことがない。

夢の中に住んではいても、夢の中に現れてくることはないからだ。

人間が楽しい夢を見ている間は、

夢虫も心地よいのでおとなしくしている。

だから夢虫は子供が好きだ。

ところが、人間がいわゆる悪夢を見るような年頃に成長すると、

夢虫はもぞもぞと動き出してくる。

悪夢が続くと、嫌がって、その夢を食べるようになる。

(夢虫  増田みず子)

無断転載厳禁

2009年1月31日 (土)

大和路に乱舞するフェアリー(38)

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もしかすると木瓜の花の、

とくに淡紅色の蝋引きしたような質感のある花びらに、

秀夫は自分の好みの少女を連想したのかもしれなかった。

自分でも薄々とそれは感じていた。

頬を染めてふっくらとした自分の胸を抱きしめ、

ひたむきに何かを思いつめている少女のような雰囲気を、

木瓜は確かに持っている、と今でも思う。

  (夢虫  増田みず子)

無断転載厳禁

2009年1月30日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー(37)

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この世に一人くらい、自分のことを知ってくれる

人がいてもいい、と思った。一度くらい

全部話してもいいではないか。

人にぶっつかって跳ね返ってくる自分の言葉など、

聞きたくない。

口を封じ、耳を封じ、胸を閉じて、どこかへ行ってしまうだろう。

有賀が言葉を吸い取ってくれる今のうちに、この大切な時間を、

体の中に溜めておかなければならない。

そうすれば、あとは、どこへ行っても、それを思い出しながら、

生きていくことができそうだった。

  (夢虫  増田みず子)

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2009年1月25日 (日)

男の台所

1

昨日は今年最初の「男の台所」があった。

小雪が舞い散る中皆張り切ってやってきた。

忘年会の会計報告をした後今年の方針を語り合った。

ふれあい祭りと盆踊り大会には又何かを料理して

売り出し盛大な忘年会をやろうということになった。

今日のメニューは五目チャーハンとワンタン鍋でした。

2009年1月 9日 (金)

銀杏は怖い

私は無神論者ではない。

だからと言って神仏に頼るのは余り好まない。

そんな私が今年は三日に家族で住吉大社に

初詣し家内安全を祈願した。皮肉なことにそれが裏目に出た。

帰りに地鶏なんばを食した。

それが硬く胃が弱っていたのだろう。

夕方コタツに入ってテレビを観ながら銀杏を食べた。

炒り方が甘かったのだろうか下痢、嘔吐を繰り返した。

保健所で聞いてみると多く食べるとそんな症状が出るそうだ。

お腹が張り食事を受け付けず高熱が出て三日間夢遊病者のように

気力が入らず寝たきりになった。

私が直りかけほっとした時になって今度は胃が強い妻が遅れて同じ

病気になった。

銀杏は近くの公園に20本くらいある大きなイチョウの実を始めて拾ってきた

ものだが残りは棄てようと思う。

健康には自信のあった私だが明日のことは分からないものだ。

正月早々えらい目に遭った。歳なんだろうか。気をつけなくてはと。

2008年12月31日 (水)

時は過ぎ去る

今年もあと数時間。

時間だけが勝手に過ぎていく。

若い頃は出来る出来ないは別にして

計画だけは立てていた。

今は何もない!

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昨日は田作り、今日は餅を作った。

これで今年は終わる。

健康であればいいということにしよう。

2008年12月27日 (土)

大和路に乱舞するフェアリー(36)

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彼がわたしを軽蔑するほど、

わたしは悲しみ、悔しがり、憤り、そして安堵した。

軽蔑して、軽蔑して、わたしを棄てればいい。

そうすれば、わたしはまた一人になる。

心の底で、自虐的にそう思っていた。

そしてついに彼から、あきらめた、といわれた時、

わたしはすとんと自分が安定したのを感じた。

だがそれは、空虚で侘しい安定感だった。

 (わたし  坂東真砂子)

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2008年12月23日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(35)

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結婚などというのは、女にとってすべてつらく苦しいものです。

けれども世の女たちは皆そのことを隠している。

不幸な人妻がみじめなのではない。

みじめなのは不幸なことを世の中に知られてしまう人妻だ。

さらにおぞましいのは、

不幸なことを大声で云いたてる女なのだ。

 (白蓮れんれん 林真理子)

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大和路に乱舞するフェアリー(35)

2008_0901_023110

結婚などというのは、女にとってすべてつらく苦しいものです。

けれども世の女たちは皆そのことを隠している。

不幸な人妻がみじめなのではない。

みじめなのは不幸なことを世の中に知られてしまう人妻だ。

さらにおぞましいのは、

不幸なことを大声で云いたてる女なのだ。

 (白蓮れんれん 林真理子)

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2008年12月20日 (土)

大和路に乱舞するフェアリー(34)

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一時は離婚話まで出ていた夫婦に何とか妥協点が見つかり、

ようやく愛情らしきものが芽生えようとしていた。

仲直りの夫婦が当然そうするように、

伝右衛門は夜毎妻を愛するようになった。

ところがどうしたことか、

あき子の身体はぴったりと閉じられたままだ。

長いこと夫に裏切られたことを心を許しても、

あき子の身体はまだなじり続けている。

 (白蓮れんれん 林真理子)

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2008年12月16日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(33)

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女を憤怒させるのは嘲りや侮蔑ではない。

それは同情なのだ。

嫌悪や嘲りや侮蔑には、まだ相手が

同じ場所に立っていることを認める気持ちがある。

けれども同情の視線は常に下に向けられている。

憐れまれる人間はそこよりも低い場所に立っていると

見なされているからだ。

 (白蓮れんれん 林真理子)

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2008年12月15日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(32)

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結婚というものは女にとって、

もともとつらく苦しいものですよ。

周りを見渡しても、結婚して幸せに暮らしている

女などいるものでしょうか。もちろん私を含めてだけれど、

と兄嫁は二人きりの時にこっそりと云ったものだ。

だから少しでも楽になる方法を考えなくてはいけないの。

お金はその大きな要素であろうよ。

お金があれば女はたいていのことが慰められるのですよ。

 (白蓮れんれん 林真理子)

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2008年12月14日 (日)

明子絶唱第3章(18)

人間と動物の違いは互いの間に愛が存在するということだ。オス同士が死闘を繰り広げてメスを獲得したり、死んだ子を何時までも抱き続ける鳥もいるがそこに愛は存在しない。動物は持って生まれた習性や本能で子孫を残すため性交したり子育てをするのであってそれは決して愛からではない。「愛」こそ人類が営々と築き上げてきた力であり、何者にも奪われることのない宝であり武器なのだ。だから愛なくしては人間は生きられない。

幸治との間も本当に愛情を持って対処すれば必ず解決する問題だと気づいた。幸治が明子に<精気を吸う女>と罵しった背景には愛情に飢えていて苦し紛れについ口に出たのであって血筋とか血縁とは関係があるとは考えられなかった。明子自身が卑下し思い悩むほどのことなのだろうか。健介に任せるのではなく明子自身が愛を持って体当たりでぶっつかれば本当の解決策が見出せるのではないかと会得した。

「勝手にしたら」

幸治は何時もとは違う明子の攻勢にたじたじの態で二階へ上がって行った。

明子は自然と鼻歌が出るような昂揚した気分で夕餉の支度にかかった。

母親が元気で笑顔でいれば家の中は明るく楽しい。テレビを観ながら夕餉の膳を囲んでも明子と葉子はタレントのギャグに笑い転げていた。幸治も無理に笑いをこらえているふうであった。

「幸治、痩せ我慢を張らないで笑いなさいよ。笑うって事は心にも身体にもいいことなのよ。くよくよしないでほら、笑いなさい!」

明子はお箸を置いて幸治のわきの下をこそばしにかかった。葉子も反対側からこそばした。

「何するねん、止めてくれ。分かったよ。こそばいからから止めてくれ……ハッハハッハ……助けてくれ!」

三人は笑い疲れた。やっと三人の心はひとつになった。

お風呂からあがった子供たちが二階へ退散した後ゆっくりと白い裸身を浴槽に浮かべた。昼間の健介の愛撫の痕跡なのか透きとおる白い肌のあちこちがほんのりとピンク色に滲んでいた。自然と両手で弾んだ胸を抱え、目を瞑りうっとりとホテルでの粘りつくようなセックスを再現させその余韻に浸っていた。幸一との夫婦生活では味わったことのないしっとりとした陶酔が今も持続し身悶えんばかりであった。お互いがお互いを燃え立たせ煩わしい浮世のことは全てそっちのけにして登り詰めていった。明子には未亡人という男を夢中にさせる何かがあるのだろうか。明子自身にはそれが何であるのか解らない。明子は思いっきりよく湯船から立ち上がり大きく背伸びをし、「見上げてごらん小さな星を」絶唱した。ささやかでいい、愛する子供たちと仲良く生きていけたら、それでいいんだ。健介とは今のままでもいい。なるようにしかならないのだ。歌声はお風呂の中を反響し明日への幸せの予感が響き渡った。

                      完

2008年12月10日 (水)

明子絶唱第三章(17)

 六

明子は子供たちが学校から帰る前に火照った身体を持て余し気味に健介の車で送ってもらい、何食わぬ顔で子供たちを出迎えた。

「只今。母さん帰っていたの。健介さんと会えたの?心配で健介さんに電話したのよ」

「そう、ありがとう。心配してくれるのは葉子だけだね。でも、もう大丈夫よ」

「良かった!健介さんに会えたのね」

「えゝ、一心寺でお父さんにも会って健介さんとの再婚の許しを得て来たの」

「へえ、それでどうなったの」

「いいよって!苦労かけた分幸せになるんだよ。お前の人生だから好きなように生きたらいいって!」

「死んだ人間が口利くかよ、自分に都合の好いことばかり云って、母さんは勝手なんだよ!」

「あゝ、勝手にさしてもらうよ。幸治がどんなに反対してもね!」

「………」

幸治は一瞬言葉に詰まった。どうも勝手が違う。小柄な明子が今日は大きく見えた。

「母上は精気を吸う女なんだよ。健介さんがどうなってもいいの!」

「お黙り!よくも実の母親に向かってそんなひどいことが云えるね。かあさんはそんなこと信じないからね。母さんはね健介さんを愛してる以上に幸治も愛しているんだよ!」

女は信頼を寄せる愛する男と寝ると何か自信のようなものが沸いてきて強くなるのだろうか。抱き合う事で愛の力が如何に偉大であるかを明子は生まれて初めて経験した。

2008年12月 7日 (日)

大和路に乱舞するフェアリー(31)

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今、人の妻となった麻也子の言葉を熱心に聴いてくれる者はほとんどいない。

野村も最初のうちこそは、会話を楽しんでいるような素振りをみせていたが、

今は早くホテルの部屋へ行くことばかり考えている。それは欲望のためというよりは、

時間の節約のためだ。気が付くと、麻也子のさまざまの言葉は、

空中に放たれることなく、身体に戻ることが多くなっていく。

それは発酵して、ぶくぶくと嫌なにおいの泡を立てているようだ。

 (不機嫌な果実 林真理子)

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2008年12月 5日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー(30)

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つまり夫は、麻也子が持っている幸福を味わっていないのだ。

いくら結婚をしていても、他の異性に心を燃やし、抱かれたいと願う。

そしてそれがかなった時の満足感と、肉体の充足。

航一はこうしたものと無縁で、一生を過ごしていくのだ。

麻也子は自分だけ、

この喜びを知っていることに後ろめたさを感じ始めている。

しかし夫に勧めることは出来ない喜びだ。

(不機嫌な果実 林真理子)

無断転載厳禁

2008年12月 4日 (木)

大和路に乱舞するフェアリー(29)

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結婚してからというもの、麻也子は正月が大嫌いになった。

毎年泊りがけで彼の実家ですごさなくてはならないからである。

地方にあるわけでもない、大晦日の真夜中にそばをすすり、

元旦の早朝に皆で祝い膳を囲む。このスケジュールをこなすために

麻也子は夫の実家という、

東京で一番楽しくない場所に一泊しなければならないのだ。

正月に聞く姑の言葉は、すべて癇にさわる。

昔に比べて、今の嫁というのはなんと幸せだろうかという思いを、

そっと舌の裏側にひそませているからだ。

 (不機嫌な果実 林真理子)

無断転載厳禁

2008年12月 3日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(28)

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新しい男ではなく、昔の男とフグを食べたら、

それはもう半分寝たことになるのではないだろか。

別れたけれど、その男とまた寝たい、

と思うことほど自堕落なものはない。

そして自堕落なことぐらい甘いものはない。

その甘さこそは自分がとても欲しいものなのだと、

麻也子はなぞなぞの答えを見つけたように頷く。

 (不機嫌な果実 林真理子)

無断転載厳禁

2008年12月 2日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(27)

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せいぜい月に一度会えばよい。

会ってセックスしたらそれで充分である。

麻也子は性の快楽を求めているのではない。

夫以外の男から渇仰され、

求められたという事実だけで、

あとの残りの日々を機嫌よく暮らせるような気がする。

 (不機嫌な果実 林真理子)

無断転載厳禁

2008年12月 1日 (月)

明子絶唱(第3章)16

明子の意識が微かに戻ったのは健介の熱い唇が明子の可愛い唇に重ねられた時だった。

「うゝっ……」

明子は期待していたかのように無意識の内に両手を健介の肩に回した。健介も両手で明子の背中を抱えて強く抱きしめ熱い舌を絡ませてきた。

「あっ、駄目……苦しい。もっと強く!」

明子は云ってることが支離滅裂になりながら小さな舌をくねくねさせて応じた。健介の唇は首の周りから耳たぶへ移り軽く噛みながら内側を撫で回した。

「うゝっ!」

快感が頭を突き抜け思わず声にならない呻き声になった。いつの間にか下着だけになっていて明子のブラジャーをしてないお椀を伏せたような白い乳房に健介の手が捲し上げたシュミーズの裾から伸び柔らかい感触を楽しむようにタッチしてきた。

「あっ、待って。シャワーしてくるわ」

「いいんだよ。明子は綺麗だよ」

健介はもう我慢が出来ないのか毛布を剥ぐりシュミーズを肩から剥がし、下着も遠慮気味に引き降ろした。晩秋の柔らかい午後の日差しが差し込む白昼の光に明子の白い裸体が眩しく照らし出された。

「あっ、恥ずかしい!」

明子は片手で大切な部分を隠しながらもう一方の手で毛布を引き寄せようとした。

「お願いだ。よく見せてくれよ。夫婦になるんだからいいだろう」

「夫婦になる」

明子は口の中で呟きながら抵抗を止めて、恥ずかしそうに両手で顔を覆いながら健介の視線の中に白い裸体を惜しげもなく晒しだした。健介の期待通りで子供を三人も生んだとは思えないぴちぴちと弾んだ肌理の細やかなもち肌だった。お餅のような丸い乳房にピンクの乳首。胴がくびれて豊かな腰。少し薄めの黒い陰毛にピンクの花びら。健介は奮い立つように明子の中に入っていった。舌先で乳首を回しながら手の平で片方の乳房をもみほぐすように愛撫した。幸一のように荒々しさはなかったがじっくりとぬるま湯に浸かっているようにじわじわと身体の心から快感が滲み出し思わず身体を反り返し呻き声をあげた。

「あ、あゝ……」

健介も又真綿で締め付けられるような耐えられない快感が走り思わず一気に炸裂した。

2008年11月30日 (日)

メタボに関心

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最近はメタボに関心を寄せる人が多い。

昨日もメタボ料理実習講習会があり大勢の人が参加した。

男の台所のメンバーもスタッフの手助けとして朝の9時過ぎから全員が参加した。

メニューはおせち料理としてもいい

わかめロール

七福なますの生春巻き

田作りアーモンド

鶏の2色揚げ

ホタテ茶碗蒸し

田作りアーモンドの雑魚の頭やはらわたをとるのに時間がかかったが

メタボ料理とは思えない美味しいものばかりだった。

2008年11月29日 (土)

大和路に乱舞するフェアリー(26)

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半分ハゲで半分白髪のおっさんよね。

でもホテルで抱き合っているときは、もうドラマよ。

運命っていう言葉が私の頭の中でぐるぐるまわり出した。

私、あのおっさんに夢中になったわ。

本当のことをいうとさ、おっさんも私と結婚しようって言ってくれた。

それなのにどうして結婚もしないで別れたかって。

それはね、おっさんの奥さんが原因よ。

いろんな嫌がらせが始まるのよ。

それにうんざりしたり、嫌気がさしたらもう終わりよ。

私なんかこれに負けたって思ってるの。

 (不機嫌な果実 林真理子)

無断転載厳禁、

2008年11月28日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー(25)

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私って本当はついていない人間なんじゃないだろうか。

その問いが執拗になってくる時は、

麻也子は夫に対して、小さな仕返しをいくつかする。

たとえば夜のおかずを一品少なくする、

シチューはレトルトを使うといったささいなものが、

それでも仕返しをするとしないとではだいぶ気分が違う。

  (不機嫌な果実 林真理子)

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2008年11月26日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(24)

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2008年11月25日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(23)

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2008年11月24日 (月)

明子絶唱第3章(15)

動物園をぐるっと一周するともうお昼を過ぎていた。

「お腹空いたね。何処かで食事しようか」

「ええ、少しお腹空いたわね」

「何処がいいかなあ……」

健介は明子を見つめながらちょっと思案していたが、再び美術館の方に向かって歩き出した。ラーメンぐらいでほとんど外食をしたことのない明子は黙って健介について行くしかなかった。天王寺駅前のホテルのラウンジで飲み干した赤ワインは何時間も動物を見て回った疲れもあってか、明子は心地よい睡魔に襲われうとうとっとした。

「疲れたねえ。ちょっと休んでいく……」

「ええっ」

明子はそれが何を意味しているのかはっきりとは分からず、初めて飲んだワインの酔いが体中に回って夢心地だった。健介に抱きかかえられてエレベーターに乗ったことは微かに覚えていたが、部屋に入ると目蓋の奥の方にベットが飛び込んできたように感じ、初めて事態を認識したが緊張と疲れで後は睡魔との闘いだった。

「駄目、ダメよ……」

ベッドに横たえられても明子は力なく嫌々をした。

「大丈夫だよ。少し休むだけだから」

健介は子供をあやすように優しく毛布を掛けてくれた。一瞬うとうととしたが何処かでシャワーの音が聞こえたような気がした。起きなければともがいたが遠くで意識するだけだった。

大和路に乱舞するフェアリー(22)

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追いつめられて死んではいけない。

成すべきことは成した、もう十分に生きた。

自分の人生は自分の手で閉じよう、

そう考えての自死なら許されるような気がする。

「本当に有難う。お世話になりました。そろそろさよならします。

私なりに充分に生きました。この世は生きるに価するものでした。

満足しています」

 (妖しい風景 髙樹のぶ子)

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1

一人っ子もいない津山城

森蘭丸の弟森忠政が築城

寂しくてわびしく佇む古城

吹きすさぶ寒風

今にも泣き出しそうな空模様

老人会のようなクラス会

一瞬足がすくみ見上げる古城

でも元気を出して出陣

そそり立つ石垣

真っ赤に映える紅葉

ゆったりと湯郷温泉

季節はずれのマッタケずくしの食膳

生きていて良かった。

2008年11月17日 (月)

明子絶唱第3章(14)

「動かないのかしら」

「うーん寝てるのかなあ。あっ、動いたよ!」

「ほんと。後ろ足だけフワッと飛び跳ねてる!」

「何してるんだろう?スキップかな。珍しいことをするもんだね」

「ええっ、あっ!なーにあれ!」

観ると水の中で二,三度足をばたつかせていたと思ったら大きな円筒のようなものがお尻からスポーンと弾き飛ばされた。まるで大筒の大砲から打ち出されたような直径十センチ長さ三十センチ位の大きな糞がぽかりと水中に浮かんだ。するといっせいに魚たちが集まって来て糞に群がった。続いて二発、連発だ。

「へえっ、凄いね。初めて見たよ!感動したよ」

「ほんと、でも不思議ね。あの糞浮くのね、軽いのね」

「ええっ、そういえば人間のは……いやだね臭ってきそうだ。あっちへ行こう」

ライオンは王者らしくごろんと横になったままピクリともしないがトラはひょうきん者か右往左往して全く落ち着きがない。それとも威嚇しているつもりなんだろうか。明子はこのところ毎年のように下位に低迷している阪神タイガースを連想し熱狂的なファンだった亡き夫を思い出した。いくら若くてもやはり主婦は何処にいても家族から離れられないでいた。

像は器用に大きな鼻で土を掻き揚げ背中にぶっ掛けて土浴びをしていた。

「ダニやノミを撃退しているんだ」

と健介が説明した。

「そうなの、感心だわ。動物ってそれぞれ自分で身を護っているのね」

「そうだよ。あの白熊見てごらん。小首を傾けて愛嬌を振り撒いているけどオスはお腹が空いてると自分の子供でも食べるんだよ」

「ほんとなの?オスと云ってもお父さんでしょう。父熊が自分の子供を食べるの!」

「あゝ、だから母熊は父熊が怖いんだ。子熊を連れて必死に逃げるんだよ」

明子も白熊のように今日まで必死に幸一から逃げて来たのだろうか。幸一が目の前に現れるのが怖かったのは確かだった。不思議なことに他人である健介はちっとも怖くなく頼もしい限りであった。何故なんだろう。そこには愛が存在していた。愛があれば何にも怖いものはない。

2008年11月16日 (日)

今年最後の「男の台所」

1

昨日は第3土曜日だったが都合で

今年最後の「男の台所」になった。

第5土曜日はメタボ料理の講習会があり

みんなで手助けすることになった。

12月4日は忘年会。

これで今年の「男の台所」は終わりだ。

少しは料理に慣れたかな・・・・?

昨日のメニューは中国料理で

酢豚、鶏胸肉のピリ辛ソース、エビチリ、白菜のクリーム煮だった。

どれも美味しく出来た。

2008年11月12日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(21)

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<自由ってものを過大評価してるんじゃないか?自由ってのは、

そのむこうに目的がなくては、ただの娯楽でしかないよ>

「クロッシング・ガード」という映画の中のセリフである。

刑期を終えて出所したものの、生きる目的を見失った男の、

寂しい呟きだったろうか。

自由になったが目的が定まらない。

現代の多くの人間、とりわけ若い人たちに通じる気がしたのだ。

自由という言葉が、輝かしい勢いに満ちていた時代が

ついこの前まではあったのだが。

 (妖しい風景 髙樹のぶ子)

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2008年11月10日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(20)

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2008年11月 8日 (土)

明子絶唱第3章(13)

「お昼にはちょっと早いなあ、美術館にでも入る。それとも動物園にしようか」

「いいの……仕事の方?突然にこんなことになって」

「いいんだよ仕事なんか。こんなことでもなければ二人だけのデートなんか出来ないしね。仏様がくれた俺たちの時間だよ。有意義に使わないとね」

「私絵は分からないし、動物園もテレビで観たことはあるけど行った事はないの。ライオンやトラがいるんでしょう。怖くない?」

「そりゃ怖いよ!噛み付くかもしれないよ」

「えゝ、ほんとなの。脅かさないでよ、檻があるんでしょ」

「そうだよ!檻はあるけどね、あんなもの簡単に壊して飛び出してくるんだ。ジャングルで物凄いスピードで獲物を追っかけているのテレビで観たことない?」

「観たことはあるけど、信じられないわ」

「嘘だよ。本当はね可愛いんだよ。明子さんみたいにね」

健介はつんと澄まして云った。

「まあ、意地悪!」

明子は健介を悪戯っぽく睨みながら健介の腕を捻った。

「あっ、痛たゝ」

健介は大げさに悲鳴を挙げた。

「あっ、ごめんなさい。そんなに痛かった?」

「うそだよ!」

「まあ!」

二人は手を取り合って笑い転げた。

動物園は平日にもかかわらず幼稚園児や引率した先生たちの何組ものグループでごった返していた。親子連れや、若いママ達が共に乳母車に赤ちゃんを乗せ、片方の手でキャーキャーと嬉しそうにはしゃいでいる幼児の手を引っ張りながらシマウマやキリンを眺めていた。

明子はそんな彼女たちや園児たちを見るにつけ胸が締め付けられる思いがした。子供たちを一度もこんなところへ連れて来たことがなかった。せめて動物園の隣の一心寺で眠っている真二だけでも連れてきてやりたかった。楽しいことが一度でもあったのだろうか。

「キリンさん、よく見てご覧。もぐもぐと口を動かしているだろう」

明子の胸のうちを知ってか知らずでか、子供好きの健介は子供たちにも聞こえるような大きな声で明子に云った。よく観てみると高い木の葉っぱを食べているようでもないのに休む間もないようにもぐもぐと口を動かしていた。

「何か食べてるの?」

「いや、あれはね反芻しているんだよ。牛と同じでね胃袋が四つあるんだ。一度飲み込んだ食物を何度も口の中へ戻し噛み直して奥の胃袋へ送るんだ」

健介は得意そうに説明した。隣の堀では河馬が大きな岩のように固まっていた。

2008年11月 5日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(19)

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2008年11月 3日 (月)

まちなか防災訓練

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9:30分 地震発生M8 鶴見区内震度6

直ちに町会ごとに「災害対策本部」が設置され、

町会一次避難場所に住民が集まり、収容避難所である

小学校の校庭に避難しました。

私は要援護者の安否を確認し、91歳のお婆さんの

車椅子を押して非難し、地震に対する心構えや防火訓練、

骨折時に雑誌で固定したり、レジ袋で腕を吊ったり毛布と物干し竿で

タンカーを作るのを学びました。

講堂では阪神淡路島の大震災の写真や映像があり、

実際の避難場所や簡易トイレなどが設置されていました。

医療室や炊き出しもあり緊急時の食べ物や飲料水簡易トイレなどが

売り出されていました。

夏から3ヶ月もかかって計画したものです。

少しでも災害に対しての心構えの向上に役立てばいいのですが。

いずれにしても災害が起きないことを祈るのみです。

2008年11月 1日 (土)

明子絶唱第3章(12)

「やっぱりここに居たんだ」

聞きなれた懐かしい声に明子は我に返り頭を上げた。健介だった。

「えっ! どうしてここに?」

明子は飛び上がらんばかりにびっくりした。

「葉子ちゃんが電話してきたんだ。お母さんが少し変だから一心寺へ行ってみてって。何があったの?」

明子の驚いた表情には思わず抱きしめたい可憐さがあったが仏の前という場所がら健介は躊躇した。

「別に何かあったってわけではないんですけど……」

健介とはもう逢わないと決心したばかりだったが目の前に現れると、そんな決心など頭から吹っ飛び健介の胸にしなだれかかって思いっきり泣きたい衝動に駆られたが、<精気を吸う女>と罵る幸治の声が耳の奥で蠢き明子を止めさせた。

人間は目の前の幸せが待っているのに何を躊躇ってわざわざ不幸の道を選択するのだろう。幸せを求めるにはそれなりの努力がいる。不幸を選ぶ方が楽なのかもしれない。自分さえ我慢すれば何もせずにそれで済む訳だから。他人を引き込む手数が省けて面倒なことはなく簡単に不幸は手に入れることができる。人間は弱く敢えて火中の栗は拾わない。それが煩わしさを嫌う常識的な生き方なんだろう。幸治が罵ったことをいくら愛し合ってる健介であっても母と子の人間性にかかわるだけに打ち明けることは出来なかった。明子は仏に手を合わせ己の心の中で葛藤し鬩ぎ合いを続ける危険な冒険心と常識的な生き方、どちらの道を選択すべきか教えを乞うていた。

「私、私ってそんなに罪深い女なの?」

「そんな訳ないだろう。誰がそんなこと云ったの……そんなに思いつめないで自然でいいんじゃないか。とにかく少し歩こうか」

健介には葉子の電話で明子が何を悩み何を躊躇っているのかおおよその見当はついていた。優しく明子の手をとって抱き寄せ、寄り添うように腰に手を回して天王寺動物園の横を市立美術館の方へ回って歩いた。人通りは疎らで所々に彫刻のオブジェがあり、綺麗に手入れされた花壇の前のベンチに二人は寄り添うように腰掛けた。健介は明子が気持ちを落ち着けるように何もしゃべらなかった。油を注ぐより明子をやさしく見守ることで二人の思いは何も語らなくても次第にほぐれていった。

2008年10月30日 (木)

大和路に乱舞するフェアリー(18)

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2008年10月28日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(17)

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2008年10月27日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(16)

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波音が鮮明なのに、池の水は微動だにしない。

百年このかた、あるいは五百年このかた、

ひょっとすると千年ほども微動だにしなかったのでは

ないかと思えるほど静まり澱んでいた。

だから、散った花びらも少しも動かないのだ。

自分の身体の中に自分の心が丁度、

頃合いの大きさで納まっている感じがした。

  (豆畑の昼 中沢けい)

無断転載厳禁

2008年10月25日 (土)

明子絶唱第3章(11)

寝苦しい夜を過ごした明子は朝早く身支度をして出かけようとしていた。徒ならぬ気配に隣で寝ていた葉子も起きだしてきた。

「どないしたん。こんなに早く何処へ行くん?」

「ちょっとなあ……」

「ちょっとって何処なあ。健介さんとこか」

葉子は夕べから気になっていた。二人の間に何かあったらしく、夕食時明子と幸治は一言も口を聞かす通夜のように気味悪かった。

「違うよ! 健介さんとはもう付き合わへん」

「なんで健介さんと喧嘩したん」

「心配せんでもえゝ、一心寺さんへお参りに行くだけや」

「一心寺。天王寺か? うちも一緒に行く。百貨店へ行きたいんや!」

「学校があるでしょ、今日は駄目。母さん一人で行きたいの。又今度ね」

そう云うなり明子は何か思い詰めたようにドアをぴしゃりと閉めて一人で出掛けて行った。

一心寺の納骨堂の仏様に手を合わせながらも明子は昨日幸治が云った<精気を吸う女>という残酷な言葉が背中から襲い掛かってくるのを払いのけることも出来ず、ただ亡くなった三人の仏に詫び成仏を願いながらも、自分の身体の中を流れるおぞましい血に怯えていた。考えてみれば幸一が亡くなって未だ半年ばかりなのに異性に縋ろうとする自分が浅ましく分からなくなっていた。これもまた先祖から受け継がれた血に起因するのだろうか。田舎の山奥にいた頃屋島の戦いに敗れた平家の落人が先祖ではないかという話を聞いたことがあった。その落人が先住民の婦女子を虐待するような大罪を犯し、呪われた血が明子の体にも流れていて自分ではどうにも制御できない何かが支配していて幸治が云うように<精気を吸う女>になっているのだろうか。もしそうだとすれば健介さんも亡くなってしまうのだろうか。そんな馬鹿な事が、あんなに元気な健介さんが死ぬ訳がない。思い過ごしだ。矢継ぎ早に三人が亡くなったのは偶然に過ぎないんだ。明子は一心不乱に骨仏に手を合わせた。

2008年10月24日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー(15)

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和子にとっての透明な朝である。

生きているつらさを、ほんのりと感じだしたのは、

あんな健康な朝がおとずれるようになったためではないか?

死んでいくつらさではない。

生きていくつらさである。

 (豆畑の昼  中沢けい)

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2008年10月23日 (木)

大和路に乱舞するフェアリー(14)

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未知子は、物心ついてからこれまで、父親知らずの片親育ちであるということに、格別の恨みを持ったこともなければ、父恋しと切実に感じた記憶もない。それなのに、どこかで父に似た異性を求めているということになる。

(写真一枚見たこともないのに)

未知子は、それが不思議でもあり、不気味でもあった。

   (未知子 諸井薫)

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2008年10月22日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(13)

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『私、彼を愛しているの。こんなに好きになった人ははじめてなの』

照世は怯えたように柄美子を見返したまま、はらはらと涙をこぼした。

勝てなかった。

いつだって『愛』に目がくらんだ者には勝てはしない。

ふたたび激しい食欲に襲われてきた。

なんだか、食べても、食べても、

空腹感がいやされそうにない五月も末の夜だった。

   

    (ひとりぐらし 藤堂志津子)

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2008年10月21日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(12)

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東京に来て初めて、自分から家族を捨てたことを、

村から脱出したことを後悔したのだった。

吹っ切ったつもりでも、

心の底にはまだそんな気持ちが潜んでいる。

カスミは自分に腹立たしさを感じると同時に、

寂しくて堪らなかった。

  柔らかな頬 桐野夏生

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2008年10月20日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(11)

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2008年10月16日 (木)

明子絶唱第3章(10)

「やっかいもの? そんな訳ないでしょう。幸治が産まれたとき母さんはどんなに嬉しかったか、天下を取ったような最高の喜びだったわ。それまで何にも良いことはなかったけどその時ばかりは神様に手を合わせて感謝したわ。今日まで生きてて良かったとね」

「信じられないなあ。近所の人の噂では結婚前に僕が産まれて仕方なく父上と結婚したんだそうだな。僕が産まれて来なければ母上は父上と結婚なんかしてなかったんだ。こんな苦労もしなくてよかったんだ。母上は父上を憎み僕を」

幸治の話を遮るように突然明子の掌が飛んできた。

「バシッ!」

「あっ。痛! 何するねん!」

「誰に聞いたか知らないけど分かったような口利くんじゃないよ。それ以上父さんや母さんを侮辱すると許さないよ。簡単だったけど結婚式はちゃんと挙げたんだからね。女でなければ分からないことかもしれないけどね、子供を産むというのは命がけなんだよ。憎み合ってる人の子供が産める訳がないでしょう。確かに母さんは未だ若かったから男の人のことは解らなかったけれど少なくてもその時は父さんを愛してたのよ。長くは続かなかったかも知れないけれど……母さんだって一生懸命頑張ったわ」

明子は豹変した。というより強くなった。大人しいばかりの明子が健介という後ろ盾が出来たことから渡辺に対しても幸治にも真正面から立ち向かう自信が言葉にも行動にも満ち溢れていた。が、さすがに暴力で犯された結果の子供だとは口が裂けても云えなかった。女とは不思議な生物でお腹に子供が宿すと母性愛と共に夫に対しても憎しみよりも愛情が勝って来る。それが夫婦というものだろう。少年である幸治にはそこら辺が理解できないのだろう。純粋であればあるほど大人の世界が何故かおぞましく汚らしいものに見えてくるのかもしれない。それだけ幸治は純真なのだろうか。目の前にいる母親に引かれる思いが異常だとは自分でも解っていながらどうにも出来ず自分で自分を追い詰めているのかもしれない。

「一生懸命頑張った結果がこれかよ。婆ちゃんや父上が亡くなり、真二まで死んでしまって爺ちゃんは刑務所や! そんな事はみんなどうでもよかったのかよ。自分さえ良ければいいんなら勝手に結婚しろよ。僕はね父上があんなに若くして死ぬなんて可哀想というか堪んないんだよ。母上があいつと結婚したらあいつもきっと死ぬことになるんや。二人の父上の葬式を出すことになるんだよ。それが耐えられないんだ」

「なんですって! あいつって。健介さんが死ぬってこと? 何と恐ろしいことを!」

何を根拠に幸治がそんなことを云うのか明子はおぞましく身震いする思いだった。明子は遠い昔を思い出すように古びた使い手のなくなった動力ミシンを眺めながら半ば暴力で犯され動力ミシンにしがみ付いて抵抗した昔日の日の出来事が目の前に鮮やかに展開され、幸治の顔が幸一とダブって迫ってくるような錯覚に囚われた。幸治の身体の中を流れる血は幸一の血を培養して獣の血で横溢しているのだろうか。まさか幸一を大川に突き落としたのは幸治だったということはあり得ないことなのだろうか。あまりに飛躍過ぎた想像に明子は頭が狂いそうになった。

「勘違いしてもらっては困るね。何も、殺すってなんか云ってないよ。そんな怖いことできるかよ。唯母上と結婚すると男は皆早死にするんじゃないかと思うんだ」

「それどう云うことなの。説明してよ」

「母上の周りの人はたぶん母上に精気を吸い取られるんじゃないか」

幸治は軽い気持ちで冗談気味に云った。

「精気を吸い取る? 人を妖怪みたいに云わないでよ。冗談じゃないわ!」

たとえ冗談にしても聞き捨てならぬことだったが、言われてみれば世間にはその人と親しくすればするほど皆早死にするといった例はよく聞いたことがある。義母や主人に続いて年端の行かない真二まで次々と亡くなったのは不思議といえば不思議な悲しい出来事だった。本当に明子に近づく人は皆死んでいくのだろうか。何かの因縁か、それとも祟りなのだろうか。明子は我が子にまでそんなふうに見られていることにショックを受け、謂れのない情けない気分に陥り涙がとめどなく流れた。

幸治も言い過ぎたと思ったのかそれ以上は何も言わず黙って二階へ上がって行った。

ひとしきり泣き続けた明子は気を取り直すように箪笥の上に置かれた三人の位牌をじっと見つめながらロウソクに火をつけ、頭を垂れながらいつまでも念仏を唱えていた。

2008年10月10日 (金)

目鼻がつく

やっと肩の荷が下りた。

「住宅・土地統計調査」の目鼻がついた。

考えてみれば世の中にはいろんな人がいるものだと感心する。

説明も聞かずに頭から拒否する人、主人はいやいやながらも

承諾の気配を見せるが後ろの方で奥様が甲高い声でお断りと言う。

でも中には親切な女の方もいた。オートロックをいつでも開けてあげますよ

といわれたときは涙が出るほど嬉しかった。

体格のいい刺青をしたお兄ちゃんが現れ「なんやねん」と睨まれたときは一瞬ドキッとした。

ところが案外気安く承諾してくれた。

後、住宅番号と名簿作りで終わりだ。

一ヶ月余り重石を乗せられたように気が重かったがやっと開放される。

明後日は玉入れや輪転がしに頑張ろう!happy01

2008年10月 9日 (木)

大和路に乱舞するフェアリー10

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2008年10月 2日 (木)

人の心は何処へ

人の心は退廃している。

私も含めて人間ほど自分勝手な生き物はいない。

雑居ビルの放火犯も然りだが政治家も云いっ放しで責任を取らない。

橋本知事が云うように戦後の教育が悪かったのだろうか。

私はテレビの影響が非常に大きいと思う。

馬鹿を売り物にしているタレントの多いこと。

呆れて物が云えない。それが又持て囃されるのだから始末が悪い。

若者が勉強をしなくなるのも頷ける。

コツコツ働くのも馬鹿らしくなってくるのだろう。

「住宅・土地統計調査」に協力して頂けないのも当然かも知れない。

人を思いやる心や優しさは何処へ行ってしまったのだろうか。

日本人が誇りにしていた助け合いの精神はなくなってしまうのだろうか。

プライバシーという勝手な権利の前に。

2008年9月22日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー9

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「佐藤愛子を今のうちに結婚させてしまいたいんや。

僕らの老後の平安のためにやね、誰かに彼女を押し付ける必要がある」

「それはいい考えのようだがねえ」

北杜夫は口ごもった。

「相手がねえ……いますかねえ……

「なんかいるやろ……探したら……

遠藤周作が俄かに夢醒めたる人のごとく、

「君、おらんのかいな。一人ぐらいは。候補者は」

 (これが佐藤愛子だ 佐藤愛子)

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2008年9月19日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー8

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2008年9月17日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー7

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2008年9月11日 (木)

オリンピックの年に同窓会

明日から暫く田舎に帰ります。

4年毎に(オリンピック開催年)小・中学校の同窓会があります。

今年は坂出のグランドホテルで13・14日に一泊で騒ぎます。

同窓生は100名ほどでしたが出席者は40名ぐらいだそうです。

この年になると恩師はほとんどの方が亡くなられたり、ご病気で

先生は出席されません。腕白時代に戻ってドンチャン騒ぎです。

15日の昼までには大阪に帰って敬老会の

受付をして記念品を渡したり、欠席者には

自宅まで届けなければなりません。

暫くブログは休みです。

2008年9月10日 (水)

大和路に乱舞するフェアリー(6)

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2008年9月 9日 (火)

大和路に乱舞するフェアリー(5)

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2008年9月 8日 (月)

大和路に乱舞するフェアリー(4)

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2008年9月 6日 (土)

明子絶唱第三章(9)

「えっ、何? どういうことなの……」

明子は一瞬何が起こったのか、幸治が泣き崩れた意味が分からなかった。姑の着物を抱えたまま呆然と幸治を見詰めていた。

「ねぇ、親父の葬式って何?」

「母上はもう父上のことは忘れてしまったのか。未だ半年しか経ってないんだよ。父上がどんな思いで死んで行ったのか母上は何にも考えないのか!」

「そんな事ないわ。酔っ払っていたとは云え運がわるかったのよ。あんな所で川に落ちるなんて、可哀そうな人だったと思ってるよ」

「そんなふうに母上は自分を誤魔化しているんだ。父上は落ちたんじゃない。自分から飛び込んだんだ。父上を追い詰めたのは僕たちだよ」

「そんな事はないわ。前後不覚に酔っ払って足を滑らせたのよ。もし仮にあんたの云うように飛び込んだにしても原因はお父さん自身だし自分で自分を追い詰めたのよ。あまりにも弱過ぎたのよ。母さんは強く生きることにしたの」

明子にも幸一の死の原因が果たしてなんだったのかはっきりしていなかった。いずれにしてもギャンブル狂いの幸一は二進も三進も行かなくなって何時かこんな結果になるのではないかと覚悟はしていた。だから薄情なようではあるが諦めが早かった。

「それがあいつとの結婚かい! そんなに簡単に次々と男を作れるなあ。母上は少しも父上を愛してなかったのか。僕は愛のない夫婦から産まれたやっかいものだったのか!」

幸治は苛立つように声を荒げた。

大和路に乱舞するフェアリー(3)

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知性も教養もない、

どこかしら野卑なところのある

男性が好みだからではない。

といっても、人前に連れ出すには、

気が引ける男たちであったのも事実だ。

  (ひとりぐらし 藤堂志津子)

画像タッチしてね

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2008年9月 5日 (金)

大和路に乱舞するフェアリー(2)

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男たちからちやほやされたり、

ロマンチックな雰囲気たっぷりのデートなどは、

どうでもよかった。

つきあう男もひとりいれば十分で、

浮気心が起きたこともない。

ひとりの男とじっくりかかわるのが好きなのだ。

  (ひとりぐらし 藤堂志津子)

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2008年9月 4日 (木)

大和路に乱舞するフェアリー

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2008年9月 1日 (月)

憂鬱な日々の始まり

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区役所のホールで説明会があった。

160戸の家庭を訪問しチラシを配らなければならない。

ほとんどがマンションでオートロックが掛かっている。

考えただけでも憂鬱だ。

でも誰かがやらなければならない。

どんなことになるやら・・・・・wobbly

2008年8月30日 (土)

明子絶唱第三章(8)

「母上、お祖母ちゃんの着物捨てるのか。未だ綺麗やないか、勿体無いやん」

いつの間にか二階から降りてきた幸治は明子の乱暴な仕分けに怪訝そうに詰問した。

「いいのよ。もう着物なんか着る時代じゃないの。邪魔になるだけよ」

「お婆ちゃんも邪魔だった訳か。さぞかし亡くなって清々したろうなあ」

「何云ってんのよ。母さんの苦労も知らないで。今日までどんな思いで生きてきたと思ってるの。あんたも一人で大きくなったみたいな口利いて!」

「そうかよ。だったら今日から一人で生きていけばいいんだろう。母上はあの野郎と仲良くやればいいんだ。子供なんて邪魔なんだよね!」

「何もそんな事云ってないじゃないの。何処まで母さんを困らせれば気が済むの!うわぁ!……」

明子は自分の気持ちを分かってくれない幸治が歯痒く、自分の息子とは思えない情けない衝動に襲われ嗚咽した。

「何だよ。何も泣くような問題じゃないだろう。嬉しいんだろう、あいつと一緒になれるんだから!俺なんか産んでくれなければ良かったんだ!」

子供は親の泣き言に弱い。慌てて明子の機嫌を取ろうとするのが普通の子供だ。幸治はそうではなかった。実の子供より恋人に走る母親に精一杯の皮肉を込め、足蹴ざまに罵った。

「そんなに母さんが健介さんと一緒になるのが悪いことなの」

明子は涙ながらに訴えた。

「善いとか悪いとか言う問題じゃないんだ。嫌なんだよ」

「何が嫌なの。新しいお父さんが出来て嬉しいでしょ」

「親父の葬式は一回でいいんだ。二回も葬式をするのは堪らないんだよ!うっ、う……」

幸治は父親の死に顔を思い出したのか感極まったようにその場に蹲り咽び泣いた。あんなに毛嫌いしていた父親なのにやはり死ぬということは遣り切れないものがあったのだろうか。

2008年8月26日 (火)

戦い済んで

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この一週間地蔵盆で忙しく、パソコンどころではなかった。

松屋町までヨーヨーセットを買いに行き、釣り針を作ったり、

ゴム紐を丸めて指が入る輪を作り、ポンプに水を入れて風船を

膨らましゴムと止め具でセットする。

130個作るのに妻と二人で二日掛かった。

スーパーボール、ヨーヨー釣り、当てもの、輪投げ、100均、

ホップコーン、ビール・ジュースの販売と夜店の準備に追われた。

パイプで組み立てた提灯釣りに豆電球をつけてそこに提灯をぶら下げて行く。

22日の夜から設営したしたテント2張りでは雨が降った場合は狭く、雨が降ら

ないことを願ったが、生憎23日は朝から雨、テントをもう2張りレンタルしようと

駆け回ったが大安吉日とかで何処も空いてるテントはなかった。

建築会社に頼んでも地神祭でなく、結局、なんとかお寺から2張り借りることが

できて無事夜店を開くことができて、大勢の子供たちに喜んでもらった。

24日は朝から濡れたテントを干し、昼から片付けで夕方まで掛かった。

25日はお世話になった方にお供え物のおすそ分けをした。

今日は「すこやか地蔵尊」の収支計算で頭を痛めている。

2008年8月25日 (月)

明子絶唱第三章(7)

飽きられ、捨てられてもいい。明子は一生に一度命がけの恋がしたかった。女の悲しい性で如何なる形にしろ一度でも関係が結ばれると女は弱い。幸一に暴力で一方的に犯され子供まで授かり、子供可愛さにずるずると愛のない結婚生活が続いたが幸一の不慮の死で、皮肉にも結婚生活に終止符を打つことができた今、明子は女として悔いのない、近くの公園で真っ赤に燃え立っている百日紅の花のような激しい恋がしたかった。好きでもない幸一との性生活の反動か母親よりも女の部分がより強く吹き出し、幸治の反対を押し切って例え一日でもいい健介との愛の巣を育みたいと切望した。

明子は渡辺の助言も無視し、強引に辞表を突きつけ退社した。身体を張って無理やり止めることも出来ず辞表を手にして呆然と明子を見送るしか渡辺は方策がなかった。

「馬鹿やろう。恩知らずめ!」

窓際に立って未練たらしく明子の後ろ姿を睨みながら口の中で口汚く罵った。

珍しく都会でも朝からいわし雲が長く尾を引き爽やかな秋風が吹いていた。明子は朝早くから引越しの準備で忙しかった。亡くなった夫や姑の遺品は全て廃棄処分した。姑のちり緬の長襦袢や絣の着物は捨てるには少し勿体無い気がしたが思いが残るようなものは持って行きたくなかった。過去を清算し思い出までも断ち切ろうとしていた。

2008年8月16日 (土)

明子絶唱第三章(6)

千載一遇のチャンスを目の前にしながら何もできないまま幸運の女神は天国へ舞い戻ってしまうのか。

「大変お世話になっておきながら報告が遅れましたが、私結婚することになりました」

「えっ、何! 結婚? 嘘だろう!」

寝耳に水だった。

渡辺の仰天振りに明子はある程度の予測はしていたが、あまりの驚きように渡辺という男の底の浅さを見たような気がした。

「いえ、本当なんです。寿退社お願いします」

明子は渡辺を見据えたまま顔色一つ変えず落ち着いた口調で答えた。それは今までの渡辺に対するお礼というより中年男に対する哀れみの眼差しであった。

「で、相手の男は誰なんだ。まさか……あの弁護士の……」

「そのまさかなんです。田原本健介さんと結婚します」

「は、はっ、はっ、はぁ……君ぃ、明子君騙されてるんだよ!天下の弁護士だよ。幾ら物好きとはいえ子連れの、それも三人も産んだ三十女にだよ!一回ぐらい寝たんだろうが弄ばされてるんだよ。目を覚ませよ明子君!」

あまりの下種の勘繰りに明子は呆れ果て、渡辺と深い関係にならなかったことを好運だったと感謝した。もし仮に一度でもそういう関係をもっていたら三十後家、淫乱、どんな下品な言葉を投げつけられていたかと思っただけでもぞっとした。

「課長、私たちは課長が想像するようなそんな下品な関係ではありません。真剣に結婚を考えているんです。近く彼のマンションに引越しします」

「引っ越す? 子供も一緒にか」

「ええ、勿論です……」

明子は幸治の事が思い出されて言葉に詰まった。

「勿論、何だ? 子供が嫌がっているんだろう。子供は感がいいからよく分かっているんだ。直ぐに捨てられるってことをなあ。そんな馬鹿な結婚は止めた方がいい。第一釣り合ってないんだよ。何でも釣り合いってことが大切なんだよ。無理して背伸びしても上手くいく訳がない。後で後悔するだけだよ。一時の迷いだよ。冷静に考えるんだな」

流石に渡辺は大人だった。興奮状態から徐々に己を取り戻しつつあった。冷静に考えなくても渡辺の云う通り、世間の常識から考えても直ぐに飽きられ捨てられるのが落ちなのかもしれない。

2008年8月11日 (月)

弾けるギャルみこし33

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2008年8月10日 (日)

明子絶唱第三章(5)

寅さんではないが男はつらいものと諦め家庭の幸せのために犠牲になるしか方策はないのだろうか。それが世間一般のサラリーマンの宿命なのかもしれない。ドラマのように若いOLと不倫の愛に走ることは競争社会のサラリーマンには縁のないことだ。ほとんどの男性が不平不満を抱えたまま日常の生活に追われあくせくと汗を流し、意味のない年月だけが思い足取りで過ぎて行く。家庭円満こそが幸せというものだと男は感覚を麻痺させられ、ひたすら仕事に精を出さざるを得ない状況に追い遣られる。

古女房一筋に誠実に生きてきた渡辺だったが最近何やら虚しさが胸の中で渦巻き何か人生に大切な忘れ物をしたような錯覚に陥り急に自我に目覚めはじめ、もがき苦しみ夜も眠れない日が続いていた。課長止まりでこれ以上の出世も望めず先の見えた男の最後の悪足掻きかもしれない。

ささやかな平穏な老後を望めば良かったのに、折角男に生まれたのだからこのまま終わりたくはない焦りもあった。最後に自分の欲望を満たしたい野望が頭を擡げてくる。仄かに灯る残り火を燃えたぎらせて、鼻に脂汗を滲ませて若い肉体に惑わされ、営々と築き上げてきた平和な家庭も爪に火を点すようにこつこつと貯めてきた僅かばかりの蓄財も全てを失ってでも弾んだ巨乳に魅了され快楽の奈落の底へ落ちる哀れな中年男を演じるのか。どちらが本当に人間らしく生きたと言えるのか分からなかった。

自問自答しながらも渡辺は愚かなことは絶対にしまいと己に誓い、何かと問題を起し後を引く若いOLには手を出さず、さりとて自分の担当範囲であるパートのおばちゃん連中は皆草臥れて愛人の対象にはならずつくづく己の運のなさを嘆いていた。でもこれでいいんだ。幸せとはいえないにしても身分相応の家庭があり、若いときは夢中になった妻も居る。それで十分ではないかと人生を諦めた時だった。

そこに千載一遇のチャンスが巡ってきたのだ。

神は渡辺にも平等にチャンスを与えたのだった。

こんな幸運が訪れるとは夢にも思わなかった。古女房一人でじっと辛抱してきた甲斐があったというのだろうか。鼻先にニンジンを突きつけられて一溜まりもなくだらしない唯の中年のオッサンになりさがっていた。快楽か奈落の底に転落するかは誰にも予想できない分かれ道を試練の場として神は与えた。

それが明子との巡り合いだった。

2008年8月 9日 (土)

パソコンの調子が悪い

パソコンの状態が全くよくない。

2,3日前から検索の欄に字が書けなかったり

コメントが送稿されない。

不正なURLです。と拒否される。

不正なURLといわれても3日前までは通用していたのに

意味が分からん。URL欄に書き込まれているのに何故だ。

電話で問い質してもブログのことは分かりません。

メールでeobiogにお問い合わせくださいという。

メールをしたがなしにつぶてだ。

おまけに平日の10時から6時となっている。

月曜日まで待たねばならない。

昨日一日待ったのに月曜日には解決すだろうか

2008年8月 4日 (月)

盆踊りに汗だく

2008_0803_200128

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2008年8月 2日 (土)

明子絶唱第三章(4)

厳しかった残暑がようやく終わり、朝夕は涼しい秋口の風が通り抜けるようになった。明子は幸治のことは男同士の話し合いということで健介に託して、取り敢えず身辺整理をするためパートを辞める決心をした。それは健介の希望でもあった。経費節約のためパートを辞めて健介の秘書とまではいかないが、法律事務所の電話番をして欲しいというのが本音だった。明子も健介と一緒に仕事が出来ることが嬉しくもあり不安でもあったが、少しでも健介の役に立てばと快く了承した。

だが、明子の心は嬉しさとは裏腹に重かった。渡辺課長には一方ならず世話になりながら裏切るような形になったのが心苦しかった。互いの事情があったとはいえ、結局は期待したようなことは何にもなかった。それが良かったのか悪かったのかは分からないが、今となってはどうしようもなくどちらの家庭も壊さなかったことを良しとするのが大人の恋だと明子は勝手に解釈した。けじめをつける意味で明子は恐る恐る辞表を出した。

「えっ、ほんとなの?どういうこと何や。折角チーフにしたのに何が気に入らないんだ。冗談だろう。それとも僕が何かした!」

渡辺は突然に明子から辞表を突きつけられて動顚したのか一気にまくし立てた。

「いえ、課長には本当に良くして頂けました。感謝しています」

「訳が解らんな。それじゃ何故なんだ。わかるように説明してくれ!」

渡辺はあれほど明子のために面倒を見てきたのに、歯軋りを噛む思いだった。男に生まれて初めての幸運が舞い降りて来た矢先目の前に突然頑丈なシャッターが降ろされ、真っ暗な部屋に閉じ込められたような閉塞感に襲われた。一生に一度在るかないかのチャンスだった。愛してもいない妻子や家庭の平穏のために踏ん切りを着けなかった己の気の弱さが腹立たしかった。

2008年8月 1日 (金)

弾けるギャルみこし32

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2008年7月31日 (木)

弾けるギャルみこし31

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2008年7月27日 (日)

弾けるギャルみこし30

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